行動力で、周りの人をぐいぐい巻き込んでいった前宝塚市長、中川智子さん(73)。思い出話は、今は亡き元首相との触れ合いへと移っていきます。
衆院議員だった頃、私は何かしようと思い立つと、超党派の議員連盟をよくつくりました。自民党を含めて、様々な党の議員が協力してくれた。
思い出すのは、橋本竜太郎さん(元首相)よね。
交通事故で車いす生活になった宝塚市の木村佳友さんと、彼の介助犬シンシアと私はつながりがあった縁で、身体障害者補助犬法を成立させようとしていた時のこと。竜太郎さんに議員連盟の会長を頼んだの。厚生族の大物だったから。そしたら、快諾してくれて。
まさか引き受けてくれるとは思いもしなかったんだけど、実は竜太郎さんのお父さんは子ども時代の病気で両脚が不自由になって、つえをついて生活していたというのね。竜太郎さんは小学生の頃から、官僚や政治家だったお父さんのかばんを持って、あちこちについて行ったそうなの。
エレベーターとか少ない時代だったから、階段を下りていってると「何をもたもたしてるんだ」「そこどけ」とか冷たい言葉を掛けられ、突き飛ばされることもあったんだって。「足が悪いというだけで、立派な父が、どうしてひどい目に遭わなきゃいけないのか」と悔しくてしょうがなかったそうね。
「あの時、補助犬がいれば、父はどれだけ助かったかしれない。僕がこの法律を作るっていうことを、天国の父はきっと喜んでくれるだろう」って。
父は犬を飼い続けていて、よく家でひとり、話し掛けていた。家族にも言えないつらいことを、聞いてもらっていたんじゃないか。犬は人間に寄り添ってくれる存在。この議員連盟の会長を中川さんから頼まれて、僕はうれしかったんだ――。
竜太郎さんは、そう言ってたわね。
それから、小泉純一郎さん(元首相)も、立場が違うけど、よく力になってくれた。「中川さんみたいに党派を超えて人の懐に飛び込んで来る議員は貴重だ」なんて言ってたわ。社民党の女性議員たちで「自民党は『料亭政治』っていうけど、私たち料亭に行ったことがない」って言ったら、招待してくれたこともあったなあ。
あの頃に比べると、弱い人たちの立場で物事を考えられる政治家が少なくなってしまったわね。今の衆院議員は全体的に「薄く」なって、大きな存在の議員がいない。
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