「新しい味も開発中です」と話す田中浩次さん=埼玉県八潮市で |
令和初の新年を迎えた。故郷に帰省している人たちも多い、この時期。そこであらためて、キラリと光る自慢の「逸品」を発見するかもしれない。今年はねずみ年。本県と栃木、群馬の「キタカン」でチュウ(注)目の逸品を探すと、その現場は多くの人たちの思いに支えられていた。
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トウモロコシやソースの懐かしい香りが鼻腔(びこう)をくすぐる。常総市の菓子メーカー「リスカ」の本社工場。子どものおやつはもとより、職場の置き菓子としても親しまれる「うまい棒」の製造元だ。常総市の2カ所と大子町の県内3工場で年間7億本の出荷を誇る。
「いろいろな菓子を作っていますが、数はうまい棒がダントツ。社名を知らなくても『うまい棒の会社』で伝わる。看板商品です」。2代目社長の武藤秀二さん(47)は胸を張る。
「国民的駄菓子」の誕生は1979年。二人三脚で商品開発や販売を手掛ける「やおきん」(本社・東京都墨田区、営業本部・埼玉県八潮市)とともに「今までにないスナック菓子を」と考案した。空洞のある筒状にすることで独特のサクサク感を実現した。
やおきん商品課長の田中浩次さん(43)によると、名前の候補には「うまいうまいバー」なども挙がったが、「シンプル・イズ・ベストで『うまい棒』に決まったそうです」。
最初の年は「ソース」「サラミ」「カレー」の三つの味を発売した。食べ応えあるボリューム感に加え、当時としては画期的だった個包装が、しけらせずに持ち運べると歓迎された。
これまでに登場した味は60種類以上に上るが、短命に終わったものも。「ギョ!the(ギョーザ)」はニラとニンニクの風味が強すぎて万人受けせず、90年代の大相撲ブームに応えた「カニチャンコ」は、カニの繊細な味わいが表現しきれず振るわなかった。
現在のラインアップは、地域限定商品などを除き15種類。「コーンポタージュ」「チーズ」「めんたい」の三つが不動の人気だ。「なっとう」は西日本への浸透に時間がかかったが、今では全国区に。甘い味の「チョコレート」(秋冬限定)「シュガーラスク」もすっかり定番になった。
出荷されるうまい棒=常総市で |
そのブランド力には県内の自治体や企業も注目する。地元常総市は2016年度、市のマスコットキャラクター「千姫(せんひめ)ちゃま」をあしらった特注の包装で約16万本を発注。前年にあった常総水害からの復興イベントや花火大会などで配り、地域のPRにつなげた。常陽銀行(水戸市)も15年、創立80周年記念の粗品として社名入りのうまい棒を作った。
標準的な小売価格は昔も今も10円。07年ごろに原料のトウモロコシが高騰した際は、包装や配送の資材を効率的に使い、内容量を1グラム減らしてコスト増を吸収した。14年、昨年と続いた消費税率アップも悩ましいが、やおきんの田中さんは「ぎりぎりまで何とか今の値段を維持したい」と知恵を絞る。
「子どもの時に好きだった味を『大人買い』する需要にも支えられている。これからも『記憶に残る味』を開発していきます」 (宮尾幹成)
<取材メモ>買い食いの定番
小学生のころ、買い食いの定番といえば「うまい棒」だった。もっと昔からあると思っていたが、1979年生まれの私とは同級生。食べる機会は減ったものの、たまに口にすると、近所の駄菓子屋の少し怖いおばあちゃんの顔や、友達とメンコに夢中になった輝くような日々がよみがえる。
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January 01, 2020 at 06:00AM
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チュウ目の逸品 キタカン2020>記憶に残る味 うまい棒製造のリスカ(常総市):茨城(TOKYO Web) - 東京新聞
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