野党がバラバラに臨めば、政権与党の厚い壁にはね返され、政治から緊張感が失われかねない。さりとて、選挙前に急ごしらえで協力態勢を組んでも、支持者は混乱し、有権者の理解を得る暇(いとま)もない。政権を厳しくチェックする野党の本分を果たすつもりなら、いつまでも手をこまぬいていてはいけない。
想定される参院選の公示まで3カ月を切った。自民党の選挙区の公認はほぼ出そろい、独自候補のメドが立っていないのは山形だけだ。「相互推薦」をめぐりぎくしゃくしていた公明党との協力関係も確認された。
対照的に、野党の態勢づくりは遅れている。過去2回の参院選では、「安倍1強」に歯止めをかけようと、32の1人区すべてに「統一候補」を立て、16年は11勝、19年は10勝と、一定の成果につながった。今回はまだ、各党がそれぞれに擁立を進めている段階で、調整は緒にもついていない。
とりわけ水を差したのが、国民民主党の政権与党への接近だ。新年度当初予算に賛成したうえ、ガソリン税を一時的に引き下げるトリガー条項の発動をめざし、自民、公明両党との実務者協議を始めた。昨秋の衆院選の時点で、共産党を含む野党共闘とは一線を画していたものの、今や事実上の閣外協力とみられても仕方あるまい。
野党の分断を狙う与党の思惑にくみするのか、あくまで野党として政権に対峙(たいじ)するのか、参院選での立ち位置を、玉木雄一郎代表は明確にすべきだ。
立憲民主党と、17の1人区ですでに立候補予定者を決めた共産党との話し合いもこれからだ。両党の間には、衆院選の際の「限定的な閣外からの協力」という合意をめぐって対立があるが、政権選択選挙ではない参院選で、この問題にこだわり続けることが生産的だとは思えない。「白紙に」という立憲の泉健太代表がまず胸襟を開き、共産を説得する必要がある。
自公政権に代わる確かな選択肢を、説得力をもって示せるか、カギを握るのが公約づくりだ。立憲は衆院選で打ち出した政権政策について、「有権者の目には財源論を含めた実現可能性が低く映ったものも散見された」と総括した。その反省を踏まえるなら、与党とバラマキを競うようなことはせず、中長期的な視点に立って、真に求められる政策を練り上げるべきだ。
衆院選で躍進した日本維新の会は、次の衆院選での野党第1党をめざし、参院選ではまず、改選6議席の「倍増」を目標に掲げた。地盤の関西以外で、どこまで国民の支持を広げることができるか。第三極としての真価が問われる。
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