●依然2人不明
航空自衛隊小松基地を離陸直後に墜落したF15戦闘機の捜索は7日、1週間が経過した。陸海空の自衛隊が捜索に総力を挙げるが、乗員2人の行方は依然不明のまま。「少しでも協力したい」と地元の消防、警察は自主的に海岸線を捜索する。ただ、機体の残骸は機密情報が含まれることもあり、自衛隊からの積極的な協力要請はない。人命救助優先の中、自治体側はもどかしさを募らせている。
現在、捜索に当たるのは陸海空の自衛隊と海上保安庁で、航空幕僚監部の広報担当者は「今のところ、どこかに協力を要請するとは聞いていない」とする。
機体の残骸は鋭利な部分があり、素手で触るとけがをしかねない。さらに残骸も戦闘機の一部で、軍事機密に当たる可能性があり、外部流出も懸念される。このため、小松基地は残骸などを見つけた場合は触らずに基地などに連絡するよう呼び掛けている。
事故発生翌日の今月1日、小松、加賀、能美市、石川県は小松基地に対し、F15の飛行訓練中止を求め、基地は要請に応じ、訓練を見合わせている。
小松市などは、今のところ自衛隊の捜索活動への職員の派遣はしていない。同市の宮橋勝栄市長は「要請があれば積極的に協力したい」と話した。
●消防、警察が自主巡回
一方で自主的に捜索に協力する組織もある。小松市消防本部は業務の合間に市内海岸のパトロールを行う。山本肇消防長は「自衛隊が一生懸命に捜索している中、微力でも協力したい」と話した。小松署も署員が海岸周辺を巡回しており、香林貢副署長は「見つかるまで続ける」と語った。
県漁協小松支所の森田誠運営委員長は「捜索に協力したい気持ちはある」と述べるが、事故発生以降、波が高く出港できない。乗員の安否を気遣いながらも事故による漁への影響を心配する漁業者もいる。県漁協加賀支所の担当者は「事故の経緯や見通し、捜索について、基地から説明を聞きたい」と話した。
7日も白山市石立町や能美市浜町などの海岸では自衛隊員が捜索に当たった。上空からは空自のヘリコプターが捜索し、洋上や海中では海上自衛隊の潜水艦救難艦「ちはや」などが手掛かりを捜した。事故発生から1週間、隊員は「地元住民の不安もあると思うので何とか早く仲間と機体を発見したい」と語った。
事故機は1月31日午後5時半ごろ離陸後、右方向に旋回して基地から約5キロの洋上でレーダーから消えた。小松基地に拠点を置く飛行教導群の群司令、田中公司1等空佐(52)と同群の植田竜生1等空尉(33)が搭乗していた。
●「世界で機密共有、簡単には頼めず」 志方帝京大名誉教授
元陸上自衛隊北部方面総監の志方俊之帝京大名誉教授(安全保障、金沢市出身)は「F15は米国でつくられた機種で、他国も使っており、いわば世界中で機密を共有している戦闘機だ。自衛隊以外に機体の捜索を簡単に頼むことはできないのだろう」と指摘した。
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