戦略的に重要な技術や物資をめぐる国家間の争いが激化している。官民が協力して国益を確保する取り組みを強化していくことが急務だ。
政府は、経済安全保障推進法案を閣議決定した。半導体などの安全な供給網確保、基幹インフラ設備の事前審査、先端技術開発、特許非公開の4本柱からなる。
新型コロナウイルス流行は、ワクチンや医薬品、マスクなどの物資を安定的に供給することの重要性を浮き彫りにした。
先端技術が他国に流出して兵器開発に利用されたり、サイバー攻撃でインフラが停止させられたりする懸念も強まっている。
こうしたリスクに備え、平素から対策を講じることが重要だ。
中国やロシアが経済的、軍事的な威圧を強めていることを踏まえ、米国や欧州は近年、新たな規制を導入し、同盟国などに協調した対応を求めている。
日本が国際的な取り組みの抜け穴にならないよう、法整備を早急に進める必要がある。同時に、米欧や豪州、インドなどと連携を強化し、国際的なルール作りでも主導的な役割を果たしたい。
日本の場合、各業界を規制する法律に安全保障の視点が欠けていた。今回の法案により、首相の権限で必要な措置がとれるようになる意義は大きい。
法案は、重要物資の供給状況について調査できるようにするほか、電気、鉄道、金融など14分野の事業者が設備を導入する際には事前審査を義務づける内容だ。
核技術や兵器を念頭に、政府が特許を審査して非公開にできるようにし、企業には経済的な補償をするという。
虚偽の届け出をした場合や、中止命令に従わないときには、事業者に対し、懲役2年以下などの罰則を科すことも盛り込まれた。
実効性を確保するため、罰則を設けることは理解できる。一方で、企業活動を過度に
法案では、政府が重要技術に関する官民の協議会を設け、情報や資金の提供、人材育成を通じて開発を支援することも明記した。
日本の科学技術力の低下が著しい。規制するだけではなく、対外的な強みとなる技術や製品を育て、経済成長につなげていくことも政府の責務である。
民間人が機密情報を閲覧するための資格の導入など、残る課題についても検討を進めてほしい。
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