フルーツに海の幸、そしてB級グルメ……。日本のお菓子の魅力の一つが、各地の特産物や名物を生かした地域限定品だろう。読売中高生新聞が昨年、中高生約1万人を対象に実施した「外国人にオススメの日本のお菓子アンケート」でも「旅行のお土産に最適」「外国人観光客にその土地を知ってもらえる」といった意見が多数寄せられた。今回は奥深き地域限定お菓子の世界を特集する。
地域限定のお菓子の最大の魅力はやはりその土地でしか買えないプレミア感だ。 地図で紹介した品々は、編集室が実施した「外国人にオススメの日本のお菓子アンケート」で上位に入ったブランドの担当者に聞いたオススメの地域限定品。王道と言える名産品から、「そこを攻める?」という変わり種商品まで
各社の開発コンセプトも様々だ。
まず、修学旅行先としてメジャーな場所や有名観光地に狙いを定め、王道的な展開をしている代表例が「ハイチュウ」(森永製菓)。現在、ハワイを含む国内外12種類の地域限定品を発売しており、「不動の一番人気」という地元産パイナップルを使った沖縄限定の「パイナップル味」のほか、パッケージを富士山の形にした「富士山ハイチュウ」も富士山周辺を訪れる外国人観光客からも人気だという。
風味や製法で攻める会社もある。
「亀田の柿の種」(亀田製菓)の関西限定「串カツソース風味」は、串カツのソース味をベースにパン粉を柿の種に絡めるなど見た目にもこだわった。東北限定「田子にんにく味」(東北限定)は青森県田子町産のニンニクから作ったパウダーを使った人気商品。広報担当者は「強すぎるニンニクの風味が逆に受けた」とみる。
カルビーが日本海側の11府県で発売している「じゃがりこ
不二家のカントリーマアムは2020年1月現在、発売中の20種類の地域限定品のうち、5種類が地元企業が発売する名物商品とのコラボ。東京・浅草の老舗和菓子屋「舟和」との「舟和芋ようかん」や鳥取の大山乳業農業協同組合との「白バラコーヒー」などで、カントリーマアムの生地に名物商品そのものを練り込むなどしている。
不二家広域営業部特販担当の與田良二部長(54)は「よりオリジナリティーが出せる上、地元企業と組むことで販売力の向上も期待できる」と話す。
カントリーマアム以外でも、ネスレのキットカットは東京土産の定番「東京ばな奈」とのコラボ商品を、有楽製菓は京都銘菓「おたべ」で有名な美十の監修でご当地商品(京都ブラックサンダー)を作るなどしている。
2017年から47都道府県すべてで地域限定の味を発売しているのが「ポテトチップス」(カルビー)だ。
きっかけは、16年に伊藤秀二社長の地元・福島の郷土料理「いかにんじん」の味を再現したポテトチップスがヒットしたこと。福島県内で1か月分の販売数量として見込んでいた約10万袋が1週間で完売。店舗当たりの販売個数も主力の「うすしお味」をしのぐほどで、ご当地商品の全国展開を決めたという。
開発にあたっては、地元自治体の職員や愛好家に試作品を食べてもらい、意見をもらう。岡山の味「デミカツ丼味」では、当初ソースの味の再現に力を入れたが、「カツの味がしない」との声を受け、豚肉風味を強くし、ヒットにつなげた。
「各地の名物をできるだけ多く取り上げたい」との思いから、47都道府県全てで毎年、フレーバーを一新しており、今年2月にも、新しい地域限定品が発売される。マーケティング担当の森田麻友さん(25)は「2020年は訪日外国人も増える。各地の味を知っていただくきっかけになれば」と話している。
江崎グリコ(大阪市)の2大お菓子「ポッキー」と「プリッツ」。同じ棒状の商品だが、地域限定品の趣は対照的だ。
ポッキーは「夕張メロン」(北海道)や、サクランボの「佐藤錦」(東北地区)など果物系が目立つ。「チョコと味の相性を第一に考える」と話すのは、マーケティングを担当する妹川陽香さん(28)。素材の味を再現する上で、濃厚な果物の方がチョコになじみやすいという。
各地域の農家が作った原料を使うなど、地域色を強く押し出しているのも特徴で、「東京や京都など、有名観光地以外にも広がりつつある外国人観光客の需要も見据えている」。
一方、「牛タン」(東北地区)、「手羽先」(中部地区)などこってり系の味が目立つのがプリッツだ。
マーケティング担当の吉田善一さん(43)によると「チョコがないプリッツは素材に練り込んだ味を楽しめるのが強み。複雑な味も再現しやすい」という。表面に調味料をコーティングすることで、味の再現度を高めている。
(商品写真は各社提供)
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January 17, 2020 at 08:25AM
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にんにく、手羽先、カニだし味…地域限定お菓子 驚きの進化 - 読売新聞
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