SENSY(東京・渋谷)が開発した「感性を学び、分析する」人工知能(AI)は、まず需要予測・マーケティング支援を目的としたアパレル業界への導入を狙うが、同時に「食」の分野での活用にも力を入れる。分析するのは人の味覚だ。ソムリエさながらに、その人が好むと思われるワインをお薦めする。渡辺祐樹最高経営責任者(CEO)は動画配信サイト「Paravi(パラビ)」の日経オリジナル番組「日経STARTUP X」で、いずれは「金融や健康などライフスタイルに関わる様々な企業のビジネスをサポートしたい」と語った。
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渡辺CEOが慶大で研究に取り組んでいた頃は、まだ「AI冬の時代」だった。世の中の課題解決に研究の成果を生かしたいとの思いが募り、起業を志すようになったという。卒業後は7年間、企業に勤め、公認会計士の資格もとった。アパレル業界に目をつけたのは、スポーツ衣料品メーカーのコンサルティングに携わり、ムダな在庫の山を目の当たりにしたのがきっかけ。ただ、全く新しい仕組みづくりに取り組んだがゆえに、創業後しばらくは苦難の時期が続いたという。
現在、アパレル向けと並行してAI活用に取り組んでいるのが食品分野。一部のスーパーなどの店頭で、試飲アンケートなどをもとに一人ひとりの味覚のメカニズムを解析し、ワインや日本酒、クラフトビールの最適な商品を提案する取り組みを進めている。渡辺CEO自身はワインが苦手だったが、AIに商品を薦められているうちに好みの味が見つかり、今はワイン好きになったという。
(2019年12月9日収録)
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