新学期が始まった。学校に行きたくない、学校が辛(つら)いという子供もいるだろう。気持ちを心にため込まず周囲に相談してほしい。
両親や先生、友人に相談するのがためらわれるなら、顔見知りの大人や近所の人でもいい。学校とも家庭とも接点のない相手の方が話しやすいということもあるだろう。
子供の声を受け止める余裕を周囲は持ちたい。そのためには環境整備も重要だ。地域に日ごろから、多様な居場所を用意することが欠かせない。
政府は年内に「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」を閣議決定する予定だ。こども家庭庁の専門部会が内容を検討している。
まずは学校や家庭が、子供に安らげる場を提供すべきは当然だ。ただ、さまざまな事情で、なじめぬ子供はいる。居場所をつくることは、いじめや貧困、虐待や親族の介護などで学校や家庭に課題を抱える子供を見つけやすくする。
課題のある子供だけの問題ではない。地域社会はお互いが無関心になり、地縁や血縁は薄れている。居場所をつくることは子供が多様な価値に触れ、豊かな体験をする機会になる。
地域によっては、子供会やスポーツクラブ、子供食堂や学習支援、外遊びを支援する「プレーパーク」などの取り組みがある。だが、NPO法人やボランティア団体などの熱意に頼りがちだ。国や自治体が活動を後押しし、住んでいる地域に関わらず、子供がくつろげる場所を持てるようにしたい。
民間の活動を支援するだけでは十分でない。児童館や図書館を活用するほか、公的事業を充実すべきは言うまでもない。
共働き家庭の子供が授業後を過ごす「放課後児童クラブ(学童クラブ)」は、利用者増に供給が追い付いていない。定員が超過して子供に目が届かなかったり、利用待機が生じていたりする。改善が急務である。
地域でサービスを複合的に提供し、多世代の人材を発掘するなどの工夫が必要だ。子供を支援できるスタッフを育成、配置して質の改善を図るべきだ。
引きこもりがちな子供のために交流サイト(SNS)での相談支援やオンラインによる居場所の設置なども考えられる。時代とニーズに合った居場所づくりを急がなければいけない。
からの記事と詳細 ( 【主張】子供の居場所 確保へ地域の協力強めよ - 産経ニュース )
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