岸田文雄首相が秋までに衆院解散・総選挙に踏み切るとの観測が消えない。東京都での選挙協力を巡り自民、公明両党の関係にきしみが生じているが、防衛増税や少子化対策の財源など国民負担増につながる問題に結論が出る年末以降は「解散カード」を切りづらくなるからだ。
「今後とも、堅固な自公政権の連携の下で、政策を前に進めたい」。岸田首相は6日、公明党と共に政権運営に当たる考えを示した。公明党の山口那津男代表も同日、「大局は首相と私でしっかりと連携していく」と強調。次の衆院選でも「東京以外のところでは与党推薦しあって協力していくのが基本方針だ」と述べ、結束して戦う意向を明らかにした。
衆院議員の任期は2025年10月までだが、それまでに選挙を行って勝利すれば与党内での首相の求心力は高まる。政策決定を進めやすくなるほか、来年9月の自民党総裁選に向けた党運営でも主導権を発揮できる。安倍晋三元首相は14年に任期を2年以上残した段階で解散・総選挙に踏み切り、勝利した。翌年の総裁選は無投票で再選された。
東洋大学の 薬師寺克行教授は、解散・総選挙の時期について「やるタイミングはこの6月、7月か秋しかない」との見通しを示した。防衛や少子化対策の財源問題を挙げ、「自民党は国民の負担を増やす公約を極力嫌う。だとすれば、秋までにやらないといけない」と指摘した。
岸田内閣の支持率は5月の主要7カ国(G7)首脳会議(広島サミット)が開かれた直後に公表された 読売新聞の調査で56%と4月の前回調査から9ポイント上昇した。
ゼレンスキー効果か、岸田内閣の支持率上昇-早期解散観測が拡大も
その後、首相秘書官を務めていた長男が昨年末に公邸で親戚と忘年会を開き、写真撮影をしたことが問題視されると、岸田首相は6月1日付で事実上更迭した。 JNNが3、4両日に実施した世論調査で支持率は46.7%とサミット前に行った前回と比べて0.5ポイントの低下だった。
足元の経済は回復基調にあり、政権の実績をアピールしやすい状況でもある。内閣府が8日発表した1-3月期の実質国内総生産( GDP)改定値は前期比年率2.7%増と、速報値の1.6%増から上方修正。日経平均株価は今週、約33年ぶりとなる3万2000円台を付けた。
日経平均33年ぶり3万2000円台、米雇用堅調と円安-プライム89%上昇
10増10減
次の衆院選から適用される小選挙区の「10増10減」を巡り、公明党は埼玉、愛知両県や、東京などで新設される選挙区で候補者の擁立を目指していた。
最も調整が難航した東京では5月下旬、信頼関係が地に落ちたとして選挙協力を行わない方針を決定。小選挙区では11人を擁立する予定だが、新たな選挙区で挑戦する候補者は埼玉14区の石井啓一幹事長と愛知16区の伊藤渉政調会長代理の2人にとどめた。
日本大学名誉教授の岩井泰信氏は全国で600万を超える公明党の支持票は、衆院小選挙区で一選挙区当たり1万から2万票あると分析しており、選挙結果には大きな影響を与え得ると指摘する。
東京での調整が決裂したことを受け、自民党は茂木敏充幹事長は埼玉14区、愛知16区で公明候補の支援に回る方針を表明し、関係修復に動いた。また、全国の小選挙区のうち、候補者調整が進んでいない山口、和歌山両県などでの支部長選定作業も急いでいる。
与党にとって脅威となるのは統一地方選で躍進し、全国的に支持を拡大している日本維新の会の動向だ。 毎日新聞が5月20、21両日に実施した世論調査によると、政党支持率は自民党が28%、公明党が4%だったのに対し、維新は17%で立憲民主党の9%を上回った。
茂木氏は3日の 講演で、衆院選の時期について「少なくとも今年の秋に折り返し点を迎える。常在戦場ということは間違いない」と語り、岸田首相が解散に踏み切る場合に備えた準備を進める考えを示した。
今後想定される政治日程
- 6月中旬 骨太の方針の決定
- 6月21日 通常国会会期末
- 7月8日 安倍元首相銃撃事件から1年
- 夏から秋 内閣改造・自民党役員人事の可能性
- 12月 来年度税制改正大綱、少子化対策財源の「支援金制度」で結論
- 24年9月 岸田首相の自民党総裁としての任期満了
(政党支持率などを追加し、更新しました)
からの記事と詳細 ( 消えぬ衆院解散観測、東京で自公の選挙協力関係にきしみでも - ブルームバーグ )
https://ift.tt/B1eG3Wj
No comments:
Post a Comment