大手食品スーパー4社(サミット、マルエツ、ヤオコー、ライフコーポレーション)は3月16日、「持続可能な食品物流構築に向けた取り組み」について、都内で記者会見を行った。
会見には各社社長をはじめ、行政、関係団体から10名が登壇。2024年問題など今後予想される物流危機をふまえ、現在および将来的な食料品の安定供給維持に向けて製・配・販が連携して今までの取組みを見直し、食品流通網の在り方を再構築すると宣言した。また同日、4社が物流領域において企業の枠を超えて協力し、物流効率化に向け取り組む「首都圏SM物流研究会」を発足することを明らかにした。
<会見の様子、左からサミット服部 哲也社長、マルエツ本間 正治社長、ヤオコー川野 澄人社長、ライフコーポレーション岩崎 高治社長>
会見では、サミットの服部哲也社長が「今の食品流通のやり方はおそらく90年代半ばに確立されたもので、20年以上変化していない。時代や価値観は変化しており、今のままでいいのか見直す時期にきている。スーパーマーケットがリードしていくことで業界の見直しにつながる。物流業界の要望というより、主体的にやっていく」と決意を表明、「賛同者はぜひ参加してほしい」と呼びかけた。
また、ヤオコーの川野 澄人社長は「今のサプライチェーンを、今のまま維持していくことは難しい。SDGsやフードロス等の課題には業界全体で取り組む必要がある。企業の枠を超え、製・配・販で協力し『三方よし』でサプライチェーン全体の効率化を目指したい」と、抱負を語った。
4社はこれまで、2022年4月に発足したフードサプライチェーン・サスティナビリティプロジェクト(以下、FSP)において、持続可能な加工食品物流の構築に向けて議論してきた。そのなかで、加工食品物流の課題解決のため、「定番発注締め時間の変更」、「特売・新商品のリードタイム確保」、「納品期限の 1/2ルールへの統一」といった3つの取り組みが提案されており、さらに「流通BMSによる業務効率化」を含めた4つの取り組みについて、今後協力して取り組む。
<定番商品発注時間の見直し 出典:FSP>
まず、加工食品における定番商品の発注時間については、従来通りの発注から納品までの工程を維持することが難しくなってきていることから、メーカー・卸売業間のリードタイムを1日延長し、小売業の定番発注時間を午前中に前倒しすることで、準備に必要な時間を確保し、夜間配送の削減や積載効率の高い配送を目指す。4社はともに、前日に発注を締めて、翌日朝(午前5~午前8時)までには、卸売側が発注データを受注しており、今後も継続して取り組む。
<特売・新商品(追加を含む)は6営業日前に計画発注 出典:日本加工食品卸協会>
特売・新商品(追加を含む)については、FSPより「6営業日前計画発注化」を推進。これにより、特売品および新商品での「精度の高い計画発注」を実施し、特売品の追加発注を抑制し、定番商品を除く新商品においては、追加発注をしない取り組みを進めていくとしている。
<1/2ルールの採用による納品期限の緩和>
また、製造日から賞味期限までの間に小売業への納品期限、販売期限が設定されているが、企業ごとにルールが異なるため、メーカーや卸売業における出荷日調整作業をはじめとする商品管理業務の負担増加が発生している。このため、納品期限を「1/2 ルール」に統一。ヤオコーとライフコーポレーションは先行して、1/2ルールを採用しており、マルエツは、2023年3月、サミットは、同年4月から同ルールを順次採用する。
さらに、流通 BMSの導入にも取り組む。BMSはインターネット回線による高速通信によって、データの送信時間が大幅に削減されるため、メーカー・卸売側の作業時間が確保され、物流コストの削減や発注から納品までのリードタイム短縮につながるとされている。4社はこれにより、検品レス、伝票レスなどの業務効率化を進めていく。
4社は「物流課題を解決するには、私たちだけではなく、製・配・販三層による連携が必要となる。私たちの取り組みを知っていただき、スーパーマーケットをはじめとする他の小売企業、卸売業、製造業においても、持続可能な加工食品物流構築に向けた取り組みが進むきっかけとなれば」とし、今後引き続き検討を進めていく。
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