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Friday, January 14, 2022

米高速炉計画 国際協力で日本の技術生かせ - 読売新聞

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 エネルギーを安定して確保するには国産技術の継承、発展が不可欠だ。日本は国際プロジェクトに主体的に参画し、原子力技術を絶やさないように努めなければならない。

 米エネルギー省と米新興企業テラパワーがワイオミング州で計画している次世代の高速炉建設に、日本原子力研究開発機構と三菱重工業が技術協力するという。

 高速炉は、冷却材に液体ナトリウムを使い、通常の原子力発電所より効率よく核燃料を利用できる。発電に伴い発生する高レベル放射性廃棄物の量も少ない。将来に向け、着実に開発を進めるべき基幹技術だと言えよう。

 もともと日本には高速炉技術の蓄積がある。高速炉「もんじゅ」は、度重なるトラブルで2016年に廃炉が決まったものの、機構はこのほかにも実験炉「常陽」や、大型のナトリウム実験施設「アテナ」を保有している。

 米国は1970年代以降、本格的な高速炉開発から遠ざかっており、日本が持つ技術やデータが役立つ場面は多いはずだ。

 日本にとっては、米国の建設計画に参加することで、これまで培った高速炉技術を磨き、人材を育てることができるだろう。

 日本は、原発から出る使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す核燃料サイクルを進めている。しかし、プルトニウムを燃やす中核施設のもんじゅの廃炉でサイクルは停滞し、政策自体が疑問視されるようになった。

 もんじゅに代わり、日本はフランスの高速炉計画に参加し、開発を続ける考えだった。ところが、フランスが財政上の理由などから計画を凍結し、先行きは不透明さを増していた。米国との協力で新たな活路を見いだしたい。

 液体ナトリウムは、空気や水に触れると激しく反応するため、取り扱いが難しいが、ロシアや中国はエネルギー安全保障の観点から粘り強く開発を続けている。

 米国も高速炉などの次世代技術で世界をリードしたい意向だ。対米協力は日本にとっても必要だが、米主導の計画に追随するだけでは、日本のエネルギー政策が各国の動向に左右されかねない。

 脱炭素の流れを受け、二酸化炭素を排出しない原子力に対する関心は世界的に高まっている。その中で、日本は原発の新増設についての姿勢も曖昧にしたままだ。

 将来の高速炉の国内建設も視野に入れ、幅広く原子力エネルギーの開発に取り組むという国の強い意志を示す必要がある。

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