2位で出た稲見萌寧(21=都築電気)が、逆転で今年4勝目、昨年と統合された今季としては5勝目を挙げた。

5バーディー、1ボギーで3日連続の67で回り、通算12アンダー、201。2位の山下美夢有に3打差をつけた。優勝の瞬間は、両手を突き上げて喜んだ。優勝賞金1440万円を加え、シーズン獲得賞金が初の1億円を突破。賞金女王争いでは笹生優花を抜き、小祝さくら、古江彩佳に次ぐ3位に浮上した。

今年8戦目にして4勝目に、ホールアウト後は「ものすごく自分でもビックリ。オフはどうなっちゃうのかという状態だったので、ここまで上位で戦っているのがすごいこと」と、笑顔で話した。これまでの今季の4勝は全て無観客開催。プロ初優勝だった19年センチュリー21レディース以来となる、ギャラリーの前での優勝に、表彰式の優勝インタビューで「皆さまの前でカップを掲げられることができて、本当にうれしいですし、皆さまの応援が最後の後押しをしてくれたと思います」と、声援に感謝した。

出だしの1番パー4で、ティーショットを左バンカーに入れた。だがバンカーからの第2打を6メートルにつけると、下りの難しいパットが残った第3打を、ラインを読んで決めた。怪しい雲行きになりかけたが、一転してバーディーと好発進。9アンダーとし、同組で回るスタート時点で首位の山下美夢有に並んだ。さらに2番パー4で、フェアウエーからの第2打を1・5メートルにつけて連続バーディー。単独首位に立った。さらに4番パー5では、第3打をわずか20センチにつけて楽々バーディー。2位に浮上した申ジエに2打差をつけて折り返した。

5番から9ホール連続パーセーブ後の14番パー4で、稲見がリードを広げた。第2打を1・5メートルにつけると、申ジエがボギー。明暗を分けるバーディーパットを決め、3打差とすると、右手でこの日初めてガッツポーズをつくった。直後の15番パー4でボギーとし、両膝をついて崩れたが、10メートル近いパーパットがわずかに届かなかったもの。むしろパットのタッチはさえていた。16番パー5でボギーの申ジエが3位に後退し、山下に入れ替わった2位とは3打差に広げた。続く17番パー3では、山下もボギーと落とし、パーセーブで再びガッツポーズの稲見は2位と4打差。優勝に大きく近づいて、最終18番に臨んでいた。

前日の第2ラウンド終了後には「最後の5ホールくらいで、自分の位置で気持ちの切り替えとかを頑張りたい」と、最終日の戦いぶりを見据えていた。言葉通り、最後の5ホールで突き放す強さを発揮。今年8戦目で4勝目、勝率5割という現在の稲見を物語る強い勝ち方だった。

東京五輪の出場権を左右する世界ランキングは、稲見は現在39位だが、これで38位の鈴木愛を抜くのは確実だ。畑岡奈紗、渋野日向子、古江彩佳に次ぐ日本勢4番手に浮上することになり、目標として言い続けてきた五輪出場の可能性が、夢物語ではなくなってきた。