原木シイタケ栽培に挑む
氷見市に移住し農業などを手掛ける元地域おこし協力隊員の稲垣信志さん(51)が、市内の山林で原木シイタケの栽培に取り組んでいる。目指すのは富山の中山間地で暮らしていける仕組み作り。地元で切り出すクヌギをほだ木にして森林資源の循環を図り、作業の協力者を募って里山ファンを増やし、将来の担い手育成にもつなげる。四年目を迎えたシイタケづくりの現場を訪ねた。(中島健二)稲垣さんが原木シイタケを栽培するのは同市仏生寺地区の山中。地区内ではかつてシイタケづくりが盛んだった時期があり、その最中の一九九四年に建てられた地元生産組合の作業場を使っている。
地元で長年、林業を担いシイタケづくりも名人と言われる六田敏夫さん(73)の指導を受けて二〇一七年から、最初は千本のほだ木で栽培を始めた。今季は昨年秋に二千本のクヌギを切り出し、ほだ木にして乾燥させてからシイタケ菌を打ち込む作業を続けている。
今月一日も、稲垣さんは六田さんとともに植菌作業を行っていた。専用の機械でほだ木に穴を開けて菌を入れていく。
「原木栽培は、原木に菌を打ち込んでから二年間寝かせて木の中に十分、菌が充塡(じゅうてん)されるところまでいかないといけない」と、苦労を語る稲垣さんは愛知県出身でもともとサラリーマン。一五年に移住し、地域おこし協力隊で活動するうちに、仏生寺地区で昔ながらの原木シイタケ栽培を続けていることを知った。
「富山の中山間地では春から秋は野菜や米づくりがあるが冬場は生業がなくなる。シイタケ栽培なら冬にできる」と考え、六田さんに相談して栽培を受け継ぐことを決断。高齢で引退を考えていた六田さんだったが稲垣さんのやる気にこたえて共に続けることにした。
稲垣さんは作業を手伝う人を求めており、この日も市内に住むモデルの島絵理菜さん(27)が参加して植菌作業を担っていた。「田舎が大好き。稲垣さんの募集を見て、作業をしたらすごく面白くて」という島さんは月に二、三回は手伝っているそうだ。県内の福祉作業所からも障害のある人が参加していた。
このほかサツマイモやジネンジョ、ヤマブドウなどの作業体験も募集しており「中山間地の農業に興味のある人を増やしたい。生業にしたい人が現れれば」と稲垣さん。農業や林業の従事者は減少の一途で高齢化も深刻だが「特にシイタケを通じて森の保全に関心を持ってもらいたい」と期待している。
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