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Wednesday, May 27, 2020

『コロナ奮闘記 Vol.10』「徹底した検査と隔離」こそ海外旅行再開への道-風の旅行社 原優二氏寄稿 - トラベルビジョン

「徹底した検査と隔離」こそ海外旅行再開への道

風の旅行社 原優二

風の旅行社代表取締役の原優二氏

 海外旅行はいつ再開されるのか。「ガイドライン」を守れば海外旅行ができるようになるのだろうか。私には「ガイドライン」の先に海外旅行再開があるとはどうしても思えない。何故なら、「検疫」が、海外渡航の大きな壁になっているからだ。この壁をぶち破らない限り海外旅行は再開されないと私は思う。

 5月15日付のJIJI.comは、日本政府が、PCR検査による「陰性証明書」を発行し、中国などへの業務渡航を容認する方向で検討に入ったと報じた。また、朝日新聞DEGITALも「茂木敏充外相も22日の記者会見で、当面は今の措置を続ける方針を強調。その上で、まず経営者層や専門人材、次に留学生、最後に観光客など、段階的な緩和が必要との認識を示した。(中略)中韓は今月からビジネス目的の往来を一部で再開したが、PCR検査による陰性確認を条件にしている。中韓は日本にも同様の対応を求めるが、今の日本の検査体制で対応できるかは不透明だ」。と報じている。

 周知のとおり、現在、日本でPCR検査を受けられるのは「医師が必要と認めた人」だけである。この検査制限をなんとかしない限り「検疫」の壁はぶち破れず、海外渡航の端緒となる業務渡航ですら始まらない。

 ではどうすればいいのか。PCR検査を拡充するとはいうものの、「医師が必要と認めた人」以外に拡大すれば、多くの人が検査に殺到し医療崩壊を引き起こす、と政府は今でもいう。2~3月の時点ならともかく、現在は、収まってきたとはいえ、無症状の感染者が市中に野放しになっており、その無症状感染者こそが人に感染させる確率が高いということが台湾やドイツの研究結果で判明した以上、「徹底した検査と隔離」へと明確に方向転換し、国民がある程度安心して過ごせるようにすべきである。

 「徹底した検査と隔離」を実践する韓国でも、感染者がゼロになったわけではないし、収束が見えたわけでもない。そもそもパンデミックは一国ではどうにもならない。しかし、韓国は、「徹底した検査と隔離」で、市中感染が起きる可能性は一部をのぞいて極めて低い。その結果、韓国は、国民も大方は安心して過ごしているし、諸外国から信頼されている。台湾は早期に中国との往来を遮断した結果、感染者自体が少なく、リンクが追えない感染は殆ど起きておらず別の形で信頼されている。

 ところが、日本は、検査が極めて少なく、リンクが追えない感染者が市中にいる確率が高くて不安が渦巻いている。結果、日本は、諸外国から不信感を持たれているのが現状だ。果たして、緊急事態宣言は解除されたが、今のままで諸外国から信頼されるようになるだろうか。

 実際に「検疫」の壁を打ち破るイメージはこうだ。入国の際に唾液を使った抗原検査をおこなう。陽性者はホテルなどに隔離する。陰性者には「陰性証明書」を発行する。出国者は飛行機搭乗前に唾液を使った抗原検査を行い英文の「陰性証明書」発行してもらう。IATAのいうところの「免疫パスポート」と同じ考え方である。簡単な検査キットが出てきているし、自宅で検査できるキットまで出てきた。技術的には、出勤前の検査だって可能になるだろう。

 「陰性証明書」は感染していないことの証明にはならないと反対する人もいるが、無症状感染者を市中に放置しておくより、徹底した検査で無症状感染者の隔離が進めば、市中感染する確率は格段に下がるはずである。何も感染者をゼロにしようというのではない。感染者はほぼ確実に隔離されているという状態を作り上げて、日本社会への安心感・信頼感を築くのが目的である。

 来年はオリンピックがある。ワクチン頼みでは実施できるか非常に不安である。たとえワクチンができても世界中に行き渡る保証は全くない。一部の国だけでオリンピックはできるはずがない。ならば、オリンピックを開催できる別のオプションが必要だ。それを展望できるのは「徹底した検査と隔離」であると私は思う。

 医療のための検査から、経済・社会活動の保証のために検査へと歩を進め、陽性者はホテルや大規模隔離施設を造り医療崩壊を防ぐ。陰性者には「陰性証明書」を発行する。入国に際しても「徹底した検査と隔離」を実施すれば、オリンピックも可能になるし、居酒屋をはじめとした飲食店も、観光関連産業も安心して営業ができる。

 もちろん、こんな面倒なことをしなくても、このまま感染者数が収まって海外旅行も再開されればそれが一番いい。スペインは7月には日本も含め海外からの観光客を受け入れるという。しかし、日本に戻ってきたときに14日間の自主隔離なしで入国できるのだろうか。結局、「検疫の壁」を何とかしなくてはならない。

 旅行会社も、今、営業を再開させ予約もとっても、秋以降に、第2波、第3波が来れば収益にはならない。経費が出ていくだけだ。そんなリスクを冒す余裕が私にはない。第2波、第3波を防ぎ、withコロナ下で、持続的に海外旅行ができるようにするには、「徹底した検査と隔離」&「陰性証明書」の発行しかないと私は思う。その道を何とか探りたい。いい方法はないものだろうか。

本稿は、風の旅行社代表取締役の原優二氏に寄稿いただいています。

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May 27, 2020 at 05:53AM
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