三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は早ければ年内にも、アジアの発展途上国の脱炭素プロジェクトを対象に、官民が協力して投融資する「ブレンデッド・ファイナンス」を用いた新たなファンド構想を公表する。これまでリスクが高く民間金融機関が手を出しづらかった領域で資金の呼び水とする。
グローバルCIB事業本部長を務める中濱文貴執行役常務は、ブルームバーグとのインタビューで「ある程度、関係者とプロジェクトの議論を始めている。12月半ばまでに絵姿を示したい」と述べた。金額規模やファンドに参加する具体的な金融機関名は明言を避けた。三菱UFJ銀行は6月、 日本貿易保険(NEXI)とブレンデッド・ファイナンスに関する基本協定書を締結し、詳細な検討を進めていた。
世界的に脱炭素の必要性が叫ばれる中、特に電力需要が旺盛で石炭火力発電への依存度が高いアジアの途上国では、脱炭素への移行に向けた資金ニーズは大きい。ただ、こうしたプロジェクトへの投融資はリスクが高く、民間金融機関だけで資金需要に応えるのは困難だ。このため、公的資金と民間資金を組み合わせてリスクを分散するブレンデッド・ファイナンスの手法が注目されている。
中濱氏は「政府には、民間側の事業者や金融機関が一定程度の経済合理性を確保できるだけのサポートを頂く」と説明した。具体的には、NEXIが保証を付けた上で、MUFGが案件の発掘や投資家への呼びかけを行い、ファイナンスの仕組みも考える。アジア以外では、アフリカなどの発展途上国を支援するために、国連の関連組織とも協議を進めている。
米ではミドルマーケットで採用強化も
一方、米国では中小型のM&A(企業の合併・買収)アドバイザリーなど「ミドルマーケット」を強化する。資本提携している モルガン・スタンレーが米国で大型のM&A関連業務に強みを持っており、役割分担で収益につなげる。中濱氏は「われわれが小さいところを手掛け、例えばIPO(新規株式公開)する際には、その分野に強いモルガン・スタンレーにつなげる」と述べ、連携強化に自信を見せた。
MUFGは、昨年に米地銀大手のユニオンバンクを売却して以降、米事業の再編を行っている。ユニオンバンクが手掛けていたミドルマーケットをMUFGが直接担当することで、これまでよりも機動的な対応が可能になったという。
採用も強化する。中濱氏は「アーリーステージから大企業まで、ホールセールバンキングをそろえたかった。スタートアップ・中堅中小のわれわれが得意な領域で、採用していきたいと思っている」と強調した。具体的な採用人数や時期は明言を避けた。
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