岸田文雄首相(65)は22日、衆院和歌山1区補選(23日投開票)の自民党候補応援のため、再び和歌山入りし、最後のお願いを繰り広げた。

応援で訪れた雑賀崎漁港で、木村隆二容疑者(24)に爆発物を投げつけられてから1週間。選挙戦最終日に再び和歌山入りした岸田首相は応援に先立ち漁港関係者らと面会した。

街頭演説では世耕弘成参院幹事長、二階俊博元幹事長、候補者に続いてマイクを握り、「ちょうど1週間前に爆発事件があった。地元の皆さんや漁港に集まった皆様方には大変なご心配、ご迷惑をおかけしたことをおわびしたい。事件にあっても身をていして犯人確保にご協力いただいた皆さんには感謝を申し上げた。多くの皆さんの協力、勇気と行動力があったからこそ、私は今日、こうしてこの場に立っている」と感謝。国土強靱化(きょうじんか)や外交安全保障、少子化対策などに触れ「我々、自公政権はさまざまな課題に勇気を持って『やる』と言っている。私たちの覚悟に、有権者の皆さんが『やってみろ』と言っていただけるなら、皆さんの力を与えていただきたい」と支援を呼びかけた。

岸田首相の応援は和歌山城周辺のホテル前で行われ、約2500人の聴衆が訪れた。関係者によると、この場所で街頭演説が行われるのはほぼ初めてで、和歌山では過去最大規模だという。爆発事件後は警察と事務所が警備を強化しており、携帯用の金属探知機を持った警察や警察犬が警戒。隣接するホールの上層階からは警察関係者らしき人物が聴衆を上から監視していた。総理に近い場所には聴衆用スペースも設けられたが、金属探知ゲートを通過した上で、手荷物検査も行われた。

和歌山1区補選には、自民党のほか、日本維新の会、共産党、政治家女子48党の4人が立候補している。和歌山は二階氏や世耕氏のお膝元だが、事前の調査では維新候補との接戦が伝えられている。岸田首相は爆発事件の後も街頭演説を中止せずに候補者の支援を訴えており、改めて和歌山入りして、てこ入れした形だ。【阪口孝志】