10年近く、発達に課題のある子どもの親御さんから相談を受けてきました。その半数以上は、知的に遅れのない発達障害児の親御さんです。親御さんといっても、95%はお母さん。ご夫婦でみえることはときどきあっても、お父さんが一人で来られることはほとんどありません。
お母さんの中には、学校や医療のことを相談するうち、途中からせきを切ったように夫のことを話す方が少なからずいらっしゃいます。「大変な子育てをしているのに協力してくれない」「障害を理解していない」「子どもがパニックにならないよう配慮しているのに、振り出しに戻すようなことをする」という声をよく聞きます。特にコロナ禍になり、在宅勤務が多くなった夫の言動にイライラしてしまうのだそう。「もしかして、この話を一番聞いてほしかったのかな」と感じることもあります。
知的に遅れのない発達障害児の場合、ある程度は会話が成り立つので、例えば週末に接するだけというお父さんは、障害特性に気づきにくいかもしれません。ちょっと問題行動が見えても、「これくらい男の子なら当たり前」とか、「俺も昔はこうだった」とか、「なんでわが子を障害児扱いするんだよ」とか。もちろん、障害のことをバッチリ理解している、すごく協力的なお父さんもいます。でも、そうでないことに悩むお母さんも多いのです。
もしかすると、子どもに障害があると分かったときの反応の違いも、影響しているのかもしれません。一概には言えませんが、お母さんは泣きながらも、親しい人に話を聞いてもらったりして、その苦しさを表に出す人が多いように思います。そしてひとしきり悩みやつらさを出すと、「今後どうしたらいいんだろう」と動き始めます。療育先を探したり、福祉サービスを調べたり。知識もどんどん深め、子供への対応が上手になっていきます。「落ち込んでばかりはいられない」と腹をくくったお母さんのパワーは、すごいなぁと感じることがよくあります。
一方のお父さんは、つらさを周囲に見せることが、お母さんより圧倒的に少ないように感じます。「言っても仕方がない」「泣いている姿を見せたくない」-そんな思いがあるのでしょうか。「夫が運動会や学芸会といった行事を見ようとしない」という相談もときどき受けます。あるお母さんはその理由を、「わが子が他の子どもと違うという現実を、目の当たりにするのが怖いのかもしれない」と話していました。子どもの障害をなかなか受け入れられず、お父さんはお父さんなりに、苦しんでいるのかもしれません。
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