NATO加盟を申請したフィンランド。これまで日本とのあいだで防衛技術協力はほとんど行われていませんでしたが、ここへきて距離を縮めつつあります。フィンランドにはどのような装備品があるのでしょうか。
大きく変化? フィンランドと日本の関係
2022年5月15日、フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領とサンナ・マリン首相が共同会見を行い、同国がNATO(北大西洋条約機構)への加盟を正式に申請すると発表。同国政府は18日に加盟申請を提出しました。これに先立ち、5月12日から15日までマリン首相が訪日し、岸田文雄首相との首脳会談を行っています。
フィンランドは第二次世界大戦で旧ソ連と戦って敗戦国となり、戦後は旧ソ連からの干渉を防ぎ独立国家であり続けるため、NATOにも、旧ソ連を盟主とするワルシャワ条約機構にも加盟せず、軍事的中立を維持してきました。
しかしロシアのウクライナ侵攻により、NATOに加盟して集団安全保証体制の枠組みに入るべきとの声が国内で大きくなったことから、フィンランドは約80年間堅持してきた中立政策から、NATOへの加盟に舵を切ったというわけです。
日本とフィンランドは第二次世界大戦後、友好的な関係であり続けていますが、中立政策を堅持してきたフィンランドと安全保障における二国間協力はほとんど行われていませんでした。日本はアメリカと日米安全保障条約を締結して自由主義陣営の一員であるという立場を明確にしているため、安全保障政策は一致せず、またお互いの距離が遠いこともあったでしょう。
しかし2019年、来日した当時のジュシ・ニーニスト国防大臣と岩屋毅防衛大臣が「防衛協力・交流に関する覚書」に署名。日本とフィンランドの二国間における安全保障協力の強化が明文化されています。
他方、フィンランドと同様にNATOへの加盟を表明したスウェーデンとは、これまでに防衛装備品の技術交流が行われています。陸上自衛隊によるカール・グスタフ無反動砲の導入や、現在はサーブの傘下となっている造船企業コックムスによる、海上自衛隊のあわじ型掃海艦の船体に使用されているFRP(強化プラスチック)技術の供与などです。しかしフィンランドとの間では、防衛装備品の面での交流はほとんどありませんでした。
その状況が大きく変わるかもしれません。なぜなら現在、陸上自衛隊がフィンランドの装備品を試験しているのです。
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