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とある理由によりボクシングを離れた桐沢(木村拓哉)が、高校ボクシング部のコーチになったことで徐々に熱を取り戻し、再生していくさまを描く青春スポーツドラマ「未来への10カウント」(テレビ朝日・木21:00〜)が放送開始する。ボクシング部の顧問役に満島ひかり、桐沢の高校時代からの親友役に安田顕など、錚々たるキャストが名を連ねる。
cinemas PLUSでは、高校ボクシング部唯一の女子部員・水野あかり役を務める山田杏奈にインタビューを実施。人生初めてのボクシング経験や、撮影現場で得ている刺激について詳しく話を聞いた。
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水野あかりの役作りの土台は「強くなりたい気持ち」
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――山田さんにとって、そもそもボクシングは馴染みがあったのでしょうか?
山田杏奈(以下、山田):いえ、人生で初めての経験です。普段から運動もあまりしないタイプで、部活動もやってこなかったので、すごく新鮮ですね。昨年の10月くらいから、空いた時間を使ってボクシングジムに行って練習しています。動きはまだまだなんですけど、前より体力はついてきたかな、という感じです。
――山田さんにとって、ボクシングは新しい趣味になりそうですか?
山田:ボクシング、すごく楽しいです。一人でジムに行って黙々と運動するよりは、楽しくやれるような気がします。自分が強くなれてる実感が得られるのが、面白いですね。万が一、危険な目に遭いそうになったときも「逃げる」以外の選択肢が増えたような気がします。
いまは仕事のためだと思えるから、頑張れてるのかもしれないですけど……!
――1話の序盤では、木村拓哉さん演じる桐沢コーチのやる気のなさに、あかりは不信感を持っていますね。どういったきっかけから、役柄をつかんでいきましたか?
山田:私が演じるあかりには、強くならなきゃいけない明確な理由があります。ボクシング部そのものが大事というよりは、自分が強くなるためにボクシング部が必要だから、必死で廃部を阻止しなきゃいけないと思ってるんです。
だからこそ、1話の冒頭では、あまりボクシング部の指導に積極的に見えない桐沢コーチに対し、不信感を抱いてしまうんです。「ちゃんとしたコーチじゃなきゃ、私が強くなれないじゃん!」って。そのあたりの動機や気持ちの強さをベースに、あかりという役を作っています。
あかりにはハッキリとした目標があるので、比較的、役が作りやすいかもしれないですね。1話の部員勧誘のシーンなども、部員が入ってくれないとボクシング部がなくなっちゃうわけですから、一番切実さを表現できているんじゃないでしょうか。
3話であかりに焦点が当てられ、強くなりたいと思う理由が明かされます。ぜひ楽しみにしていてほしいです。
木村拓哉さんのストイックさに「大変なんて言っていられない」
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――山田さんにはストイックなイメージがあるのですが、今回の撮影現場でも、山田さんのストイックさが発揮されていますか?
山田:今回、主役を務められている木村拓哉さんが、ものすごくストイックな方なんです。なので、私がストイックなんて、とてもじゃないけど言えません。体力的にハードな撮影も増えてくるかと思うのですが、弱音を吐いてはいられないです。
木村さんは、ボクシングのことはもちろん、芝居や全体の流れについてもアドバイスしてくれます。役者として、とても幸せな現場です。毎日、刺激をもらっています。
――木村さんからは、具体的にどんなアドバイスをされましたか?
山田:周りについていこうとして、頑張って無理しすぎないように、と声をかけてくださいます。常に周囲に気を配っていらっしゃって、優しい方だなと感じます。
――憧れの女優さんとして名前を挙げている、満島ひかりさんとも今作で初共演されていますね。
山田:そうなんです、もう、ほんっとに嬉しくって。目の前で満島さんがお芝居してらっしゃるのを見てるだけでも、幸せです。満島さんのお芝居を見ながら、あらためて、お芝居が好きだと実感しました。
満島さんから「こうやってみたら、もっと良いかも」とアドバイスをしてくださることもあって。一日の撮影が終わってから「今日のシーン素敵でした」と言ってもらえたこともありました。そこで初めて「すごく好きなんです」と伝えられて、嬉しかったです。
木村さんも満島さんも、生徒役のみんなを後輩として、引っ張ってくれています。私たちも、精一杯それについていこうと頑張っているところです。
――大先輩と同世代の役者さんがいる現場で、どんな刺激を受けていますか?
山田:同世代の子たちと「ここの芝居をこうしてみようか?」と話し合える現場は、私にとっては貴重です。意見をシェアしながら、お互いの考えを整理できるので、それだけで刺激になります。きっとみんな「ボクシング」という共通事項があるからこそ、話しやすいんじゃないでしょうか。
自分の仕事に満足することは、ありえない
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――ドラマや映画など出演作が続いていますが、それぞれの現場でどんな違いを感じますか?
山田:映画は丁寧に時間をかけて、しっかりと話し合いながら作っていきます。120分のなかを、いかに生きていくかを考える。それに対してドラマは、短い時間のなかで的確に撮っていかなきゃならない分、違う集中力が必要です。どちらにも、それぞれの楽しさがあると感じています。
――苦しさではなく、楽しさに焦点を当てられているんですね。
山田:そうですね。現場にいるからには、楽しくやりたいんです。映画については、お客さんの元へ届く頃には、私たち役者の仕事はすべて終わってしまっているから、いまこの瞬間のベストを尽くしたいと思っています。
映画はとくに、毎回「もっとここをこうすればよかったな」と思うことばかりです。なるべく悔いを残さないように、より良い作品を届けられるように、そのときにできることをするしかないと痛感しています。
――毎回、反省点が浮かぶんですか? とても意外です。
山田:映画の初号試写を見るのが、一番苦手な仕事かもしれません……。いつも、気が進まないんです。どれだけ力をつけても、自分の仕事に満足はできないと思うから。
でも、満足し切ってしまったら、役者を辞めちゃうだろうなとも思うんです。そう考えると、いつになっても反省点はあってほしいなと思います。
仕事も休日も楽しむことがモットー
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――5月からは、AIによって選ばれた高校生が政治を動かしていく吉田玲子さん脚本のSF政治ドラマ「17才の帝国」(NHK)もスタートします。神尾楓珠さんが17歳の総理大臣・真木亜蘭(まき・あらん)を、山田さんがその補佐官・茶川サチ(さがわ・さち)を演じていらっしゃいますが、神尾さんとは映画『彼女が好きなものは』でも共演されていましたね。
山田:『彼女が好きなものは』のプロモーションが終わった瞬間から「17才の帝国」の撮影が始まったので、ずっと一緒にいる感覚です。どんどん喋ることがなくなってきました(笑)。
私と楓珠くんは、現場でお芝居の話をすることは少ないんです。でも「17才の帝国」は作品ジャンルや世界観、役柄にも難しさがあり、私自身も迷うことが多くて。楓珠くんも楓珠くんで、高校生がAIを使って政治をする不思議な役柄ですから、迷うことも多かったんじゃないかなと思います。
それでもやっぱり、楓珠くんの佇まいと演技は素敵だなと思いながら見ていました。私たち役者も頑張っていますし、世界観も撮影セットも美しい作品なので、視覚的にも楽しんでもらえると思います。
――主に、どんな点で迷われることが多かったんでしょうか?
山田:吉田さん脚本ということもあり、世界観やセリフ回しについてもSFアニメの要素が多くて、新鮮で面白いながらも表現に苦労しました。AIの音声と会話するシーンがあるんですけど、対人じゃないお芝居自体も初めてで。難しかったのと同時に、とても面白かったです。
――山田さんはやっぱり、何事にも楽しさを見出す方なんですね。
山田:どんなお仕事に対しても、楽しさを探し出すように心がけてます。お芝居は大好きですけど、仕事一色になっちゃうと大変ですから。
仕事で頑張った分、休みの日は思いっきり遊んだり、身体を休めたりするようにしてます。自宅で料理を作ったり、サウナや岩盤浴に行ったり。あとはひたすら寝て、体力を温存しますね。
――どんなお料理を作ることが多いですか?
山田:よく作るのは、ナスの揚げ浸しです。大好きなので、よく作ります。作る手間がかかる割に、すぐ食べ切っちゃうので、もったいないんですけど。
冬は鍋ばかり作ってました。時間があるときは、昆布と茅乃舎の出汁を使って、野菜を細かく切って、しゃぶしゃぶのお肉を入れて、ポン酢や柚子胡椒でシンプルに。とっても美味しくて、一時期すごくハマってましたね。
あとは赤から鍋の素がすごく好きです。この冬、何回使ったかわかりません。
――仕事も休日も楽しまれている様子が伝わってきます。最後に、そんな山田さんから見た、ドラマ「未来への10カウント」のアピールポイントを教えてください。
山田:ストーリー性とテンポ感を融合した脚本で、熱い青春ドラマが実現していると思います。木村拓哉さんや満島ひかりさんはもちろん、私たち生徒も頑張っているので、ぜひそれぞれの演技も楽しみにしてほしいです。木村拓哉さんのボクシング姿をお楽しみに!
(スタイリスト=武久真理江/撮影=大塚秀美/取材・文=北村有)
<衣装協力=Tory Burch、LE CIEL BLEU、Sergio Rossi、CHARLOTTE CHESNAIS、VA Vendome Aoyama>
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