【内部告発】「コロナ協力金で不正横行」 謎のバーを追う 調査報道23時
その内部告発は、都の協力金申請窓口で働く女性から寄せられた。
東京都の協力金申請窓口で働く女性
「あまりにも不正が多く、協力金をばらまいているとしか思えません。私達の税金がこんなにもめちゃくちゃに使われていることに、みんな憤りを感じている毎日です」
協力金は時短要請などに協力した飲食店に支払われる。緊急事態宣言中には、1店舗につき一日最低4万円、月額にしておよそ120万円が支払われた。その協力金で、不正申請が相次いでいるという。
東京都の協力金申請窓口で働く女性
「山ほどありますよね。テナントだけ借りて、明らかに営業していない。オープンしましたっていう証拠もないんですけど」
元々店などやっていないのに、営業していると装って協力金を申請する不正が横行しているというのだ。申請手続きでは、実際に営業していることを証明するため、店の看板や飲食スペースの写真の提出を義務付けている。だが・・・
東京都の協力金申請窓口で働く女性
「もう誰が見ても(営業していないと)わかるような写真を送ってくる方もいらっしゃるので。何もない空間にテーブルと椅子だけとか。本当にひどい人は食卓だったりとか。(Q.食卓ですか?)はい」
同様の証言は、西日本の自治体の協力金申請窓口の女性からも。
西日本の協力金申請窓口で働く女性
「どう見てもこの外見の写真って普通のアパートだよねっていう写真があったりとか、ただそこにとって付けたようにガムテープで看板みたいなのを、紙に屋号を書いてペターって貼るようなレベル」
そんな中、不可解なバーがあるという情報が。緊急事態宣言中にオープンしたというが・・・
記者
「このバーなんですが、ドアにA4で1枚店名が貼られているだけです」
店の名前はバー「壁」。人通りもまばらな足立区の街角にあった。以前ここで営業していたスナックの看板もそのまま残っている。夜に再びこの店を訪ねてみる。忘年会シーズンの金曜日、しかもクリスマスイブだ。
記者
「きょう12月24日クリスマスイブの夜ですけど、静まりかえってます。とても営業しているようには見えないです」
私たちは、都内の感染状況が下火になり、飲食店の営業に制限が全くなかった時期に4度この店を訪ねた。しかし、営業している様子は一度も確認できなかった。
近隣住民
「(Q.壁と書いてある。あれは何だと)・・・分かんない。店名だと思わなかったけど、なんで壁っていう・・・やっているの見たことないよ」
同じ建物で飲食店を営む男性は・・・
同じ建物で飲食店を営む男性
「(Q.会員制でもバーをやっていた様子は)ないです。一切お客さんの出入りもないし、人も出入りしてない。(Q.隣だからわかりますよね、やっていたら)うん」
保健所で調べると、このバー「壁」、都内に少なくとも5店舗あった。その全てが、緊急事態宣言中に営業許可を取得している。そして関係者によると、この5店舗には、既に合わせて1000万円以上の協力金が支払われたという。私たちはそのすべての店を訪ねた。
東京・羽村市にあるバー「壁」。
記者
「住所ではこの建物になっていますね・・・あ、ありました」
こちらの店にも「壁」と書かれた紙。やはり、前に営業していたスナックの看板も・・・。隣の不動産会社に聞いてみると・・・
隣の不動産会社
「いや、もう最初から、一回も開けてるの見たことないので。(Q.お隣のお店ってこちらの不動産会社が)ああ、違います。(Q.駅前の不動産屋さんですか)そうです。不動産屋さん行きました?(まだ行ってないんです)そっち行った方がわかると思います」
その不動産会社に向かった。
不動産管理会社担当者
「(Q.あそこの家賃は)4万円前後です。駅からも歩いて10分弱ある。周りに飲み屋さんとかもあるような場所ではないので、『そこでもいいですかね?』という話はしたけど、『いいです』みたいな感じでしたね」
八王子のバー「壁」は・・・
記者
「蜘蛛の巣が張っていますね。ずっと使われていないんでしょうか。バーのようなカウンターがあります。後ろの棚ですけど、お酒などは一つも並んでいませんね」
江東区のバー「壁」もシャッターが閉ざされていて営業している気配がない。
同じビルの飲食店で働く男性
「 (Q.毎日見ていても営業している実態は)ない。絶対にない。ない」
結局、都内の4つのバー「壁」では営業の実態が確認できなかった。一方、渋谷区にあるバー「壁」だけは、営業しているとの情報があった。周囲の人によると会員制のバーで不定期に営業しているという。
周囲の人
「年末に懐メロみたいなカラオケの歌声が聞こえましたよ、地下から」
バー「壁」の営業許可書は男性と女性、2人の名前で出されている。協力金の申請に問題はないのか。直接話を聞く。
バー壁の経営者
「(Q.開業されているバー・・・)やましいことは、全くしておりません。(Q.されていない。協力金の申請は・・・)」
男性は「やましいことはしていない」と言って電話を切った。
一方、足立区と江東区の店で経営者になっている女性。名前を元に取材を進めると居場所がわかった。
記者
「●●さんですか?」
バー壁の経営者
「・・・」
記者
「開業されているバーについて。これまで営業したことないですか?」
バー壁の経営者
「いえ、営業はしているんです」
記者
「周りのお店もそういうお店がやっているのを見たことがないと」
バー壁の経営者
「会員制なので、基本的にはお客様いらっしゃる時にしかオープンしてないんです」
記者
「不正受給なら返還するという気持ちは?」
バー壁の経営者
「不正に受給している場合はもちろん返還させて頂きます」
その後、女性は「税理士、弁護士に改めて確認したが、運営は全て適法に行っている」とするメールを記者に送ってきた。
関係者によると、東京都は現在、バー「壁」の営業実態を調べているという。協力金の申請窓口で派遣社員として働く女性たちは、そもそも自治体の審査体制に問題があると口をそろえる。
東京都の協力金申請窓口で働く女性
「めちゃくちゃですよね、ずさんっていうか、ひどすぎますよね」
西日本の協力金申請窓口で働く女性
「声をあげても素通りされてしまうところがあって。もう怒りを通り越すとか・・・苦笑いっていうような笑いというか。結局、税金ということで『人のお金』的な発想になっているんじゃないかと思ってしまいます」
いま、まん延防止措置が出ている34の都道府県では再び協力金が支払われることになる。
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