1975年(昭50)にシングル「わかるかなぁ わかんねぇだろうなぁ(夕やけこやけ)」で160万枚の大ヒットをとばした漫談家の松鶴家千とせ(しょかくや・ちとせ)さん(本名小谷津英雄=こやつ・ひでお)が17日、心不全のため都内の病院で死去した。84歳。最後までトレードマークのアフロヘアにあごひげ、サングラス姿で舞台に立ち続け、現役の芸人のままであの世へと旅立った。
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千とせ師匠が、突然逝った。84歳とは思えないほど、元気な姿に接していただけに驚いている。
一昨年の夏、アイドル歌手恵中瞳のプロデュースをするというので、東京・浅草の木馬亭で話を聞かせていただいた。「若い子と仕事をさせてもらうのはありがたいよね。パワーをもらって、若返りますよ」とニコニコと笑っていた。
出番の後に近くの居酒屋で一緒にビールを飲んだ。記者がアラ還で、師匠が75年にシングル「わかるかなぁ わかんねぇだろうなぁ」で大ヒットを飛ばしたのをリアルタイムで知っていることを話すと笑顔が弾けた。今では考えられない160万枚のヒットのことを聞くと「今は配信になっちゃったけど、当時は公演先で100枚単位でレコードが売れたんだからすごいよね」と人ごとのように話した。
そして「ネット時代はありがたいよね。いくら大ヒットしても、なかな若い人には分かってもらいにくかったんだけど、今はYouTubeで昔の映像を見て理解してもらえる。だから、若い子と一緒の仕事もできるんだから」。そして87年から88年の全民放合同の「行く年来る年」で時計のセイコーのCMに単独で出演した時のことを「全民放一緒なんだよ、すごいよねえ」と振り返って、うまそうにビールを飲み干した。
最後に会ったのは、昨年のクリスマス当日だった。アイドルファンが集まる東京・蒲田のライブハウスで「師匠、師匠」と声をかけられながら笑顔を見せていた。そして「来年も月1回でライブを主催していきますからよろしくね」と丁寧にあいさつしてくれた。
ご冥福を祈ります。【小谷野俊哉】
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