第71期ALSOK杯王将戦第4局第2日 ( 2022年2月12日 東京都立川市・SORANO HOTEL )
第71期ALSOK杯王将戦7番勝負(主催・スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社)第4局は12日、東京都立川市の「SORANO HOTEL」で2日目が指し継がれ、藤井聡太竜王(19)=王位、叡王、棋聖含む4冠=が114手で勝利した。渡辺明王将(37)=名人、棋王含む3冠=の得意戦法・矢倉を打ち破り、最年少王将と最年少5冠を達成。王将戦初挑戦で初のストレート奪取をかなえ、歴代16人目の王将に輝いた。
投了を受け、長く垂れたこうべに敬意が表れた。王将戦史上初めて、初挑戦を4連勝で実らせた。昨年8月の王位戦第5局以来のタイトル戦での連勝を10とした。圧倒的数字の数々は、その実感と真逆だった。
「王将戦は歴史のあるタイトル。うれしい」。喜びを率直に語った後、続けた。「中盤のバランスの取り方で気づかない手を指されることが多く、勉強になった。苦しい局面でも粘り強く指して終盤に持ち込めたのがよかった」。渡辺との2日制は初めてだった。
1日目、銀取りに放った藤井の62手目△4四桂。手抜きして藤井飛車の利きを止める▲7四歩が読みになかった。「指されて“なるほど”。自信がなかった」。封じ手後、告白した劣勢だった。
2日目、渡辺の69手目▲3四桂で追われた角を活用する。3一、5三、7五、6六と進出し、84手目△3九角成と渡辺王に迫った。3七桂が跳ねると3六飛の利きが通り、素抜かれる。その変化も読み切り△4九馬、そして90手目△5八馬(第1図)と渡辺王ににじり寄った。守りの要の金と刺し違え、大任を果たした。くしくも最も好きな駒が角。棋士人生における節目の一勝に誇れる棋譜を残すことができた。
中村修九段(59)が六段時代、3冠だった中原誠16世名人(74)から奪った最年少王将を36年ぶりに更新。中村は当時23歳4カ月。19歳6カ月の藤井は、こちらも4年近く更新した。5冠は史上4人目。羽生善治九段(51)が93年王位戦で達成した22歳10カ月を3年余り縮めた。
10代にして歴史的存在になった。洋々たる前途。ただ、本音は違う。思考力や計算力が問われる、棋力のピークとして想定するのが25歳。「年齢に関係なく伸びしろはあると思うが、20代半ばまでをそういう時期と考えるのは自然と思います」。羽生が96年、当時の全7冠を制覇した25歳を根拠の一つとする。
1年前に公表した卒業目前での高校の自主退学は王位、棋聖2冠を獲得したことによる、出席日数不足が直接の理由。「高校へ行ったことでプラスになったところもある。でも(中退したことで)将棋により取り組めたし、充実した時間にできた」。学生と棋士の二刀流から専業になり、追加できた3冠。結果を出せた手応えは掌中にある。
「(5冠は)実力を考えると出来過ぎ。立場に見合う実力をつけたい」。25歳まで5年余り。無人の野をゆく進撃にも、安住はしない。
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