日産自動車(Nissan)の欧州部門は7月1日、英国サンダーランド工場の隣接地に、エンビジョンAESCが大規模バッテリー工場「ギガファクトリー」を建設することに協力すると発表した。
エネルギー密度を30%向上させた第5世代バッテリー
エンビジョンAESCは2012年、EVの『リーフ』の英国現地生産のため、サンダーランドにバッテリー工場を設立した。同工場のチームは9年間にわたって、英国で生産されるリーフと商用EVの『e-NV200』にバッテリーを供給してきた。これまでに同工場で生産されたセル、モジュール、パックは、世界44か国で販売された18万台以上のEVに搭載されている。
エンビジョンAESCは、日産の新世代EVにバッテリーを供給するため、4億5000万ポンドを投資し、サンダーランド工場に隣接する「インターナショナル・アドバンスド・マニュファクチャリング・パーク(IAMP)」に英国初のギガファクトリーを建設する。このギガファクトリーは再生可能エネルギーで稼働し、次世代バッテリーを生産する。
このギガファクトリーでは稼働当初、9GWhで生産を開始する予定。将来的には18億ポンドをエンビジョンAESCが投資し、2030年までに最大25GWhへ生産能力の増強が図られ、4500人の新規雇用を創出する。最終的には、35GWhまで拡張することを想定している。
新工場では、航続と効率性を向上させるために、エネルギー密度を30%向上させた新しい第5世代のバッテリーセルを生産し、英国で生産されるEV用バッテリーのコスト競争力を高める。このバッテリーは、日産の新型EVに搭載され、高度な技術を搭載した車両部品やコンポーネントの継続的な現地化をサポートする。この取り組みにより、将来的にバッテリーコストが下がり、より多くの顧客にEVを選択できるようになると見込む。新しいギガファクトリーでは稼働当初、750名の雇用を創出するとともに、300名の現従業員の雇用を維持していく。
ゼロエミッション車をゼロエミッションで生産
英国サンダーランド市議会は、このエコシステムを活用し、年間5万5000トンの炭素を削減する100%再生可能な電力の「マイクログリッド」を実現するプロジェクトを主導している。
当初の計画では、日産の既存の風力発電や太陽光発電の設備に加えて、最大で10基の太陽光発電設備を建設することで、132MWの発電量を見込んでいる。また、英国の送電網からの再生可能エネルギーと合わせて、日産と隣接するインターナショナル・アドバンスド・マニュファクチャリング・パーク(IAMP)にある自動車関連企業に、安定した100%クリーンな電力を供給する。この計画は、潜在的な民間のグリーン投資家と緊密に論議しながら進めていく。
このプロジェクトは、8000万ポンドの投資を見込んでいる。また、日産とエンビジョンAESCバッテリーを二次利用した1MWの蓄電システムも計画されている。この蓄電システムにより、昼間に発生した余剰電力を別の時間に使用することで、送電網の需要バランスを取ることが可能になるという。
英ジョンソン首相「日産の発表はEV革命の重要な瞬間」
今回の日産の発表に合わせて、英国のボリス・ジョンソン首相がサンダーランド工場を訪問した。同首相は、「日産がサンダーランドで新世代のEVを生産すること、そしてエンビジョンAESCがギガファクトリーを建設すると発表したことは、英国とその北東部の高度に熟練した労働者に対する大きな信頼の証。今回の発表はEV革命の重要な瞬間であり、今後何十年にもわたっての未来を約束するもの。これらのコミットメントは、環境に配慮した多くの雇用を創出し、英国の産業を活性化するとともに、人々が気候変動へ影響を与えることなく、手頃な価格かつ持続可能な方法で移動できるようになるものだ」と述べている。
からの記事と詳細 ( 日産、英国初の大規模バッテリー工場の建設に協力…新型EVに搭載へ - レスポンス )
https://ift.tt/367QVxI
No comments:
Post a Comment