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Sunday, May 2, 2021

“まえだまえだ弟”から“俳優・前田旺志郎”へ ブレイク経て芽生えた俳優としての野心 - auone.jp

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前田旺志郎 撮影/田中達晃(パッシュ)(C)oricon ME inc.

 2007年に兄弟で漫才コンビを組み、『エンタの神様』(日本テレビ系)への出演や『M-1グランプリ』での準決勝進出などで大ブレイクを果たした「まえだまえだ」前田旺志郎。現在は、俳優として『MIU404』(TBS系)第三話の陸上部員・勝俣奏太役やドラマ25『猫』(テレビ東京ほか)の主演・天音光司役、連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)で劇団員の松島寛治役を好演して話題を集めた。そんな前田に俳優という仕事への想い、「まえだまえだ」での活動は自身にどんな影響を与えたのか、また兄・航基はどんな存在なのかなどを聞いた。

■「自分が『まえだまえだ』なんだという意識はなかった」

――現在出演されている連続テレビ小説『おちょやん』では、旺志郎さんが松島寛治役で登場するやいなや「#まえだまえだ」がTwitterでトレンド入りするなど話題になっていました。他にも「イケメンになった」という声も沢山あがっていました。

【前田旺志郎】 僕としては“俳優・前田旺志郎”を『おちょやん』きっかけで知って頂けるというのはすごくありがたいと思っています。自分ではエゴサーチはしないのですが、マネージャーさんが僕の名前で検索してくれて、『おちょやん』でのお芝居を褒めてくれているツイートをスクショして送ってくれるんです(笑)。そういう反響は純粋に嬉しいです。

――旺志郎さんはどんな役も自然と演じてらっしゃる印象がありますが、役者として意識されていることや大事にされていることは何ですか。

【前田旺志郎】 例えば『おちょやん』の現場だったら、千代さんと一平さんの義理の息子という立ち位置の寛治が、シーンの中でどういう居方をすればベストなのかを考えるようにしていて。自然に演じるというよりは、作品そのものやシーンごとに、どれだけ馴染むことができるかということを意識しながら演じるようにしています。

――旺志郎さんと言えば小学生兄弟お笑いコンビ「まえだまえだ」として活躍されていた頃のイメージが強いです。

【前田旺志郎】 兄と一緒に松竹の養成所に通っていたのですが、その時に漫才を教わる機会があって、そこで僕と兄は1本ネタを作ったんです。まだ小さかったので漫才師になりたいという気持ちは特になかったのですが、もともとお笑いが大好きなこともあって、記念受験に近い気持ちで『M-1』に出場しました。準決勝まで進出できたことをきっかけにメディアで“小1と小3の漫才コンビが凄い”と取り上げていただくことが増えて、そこから「まえだまえだ」としての活動がスタートしたという感じです。

――当時、お笑いコンビとして注目をされることに対してどう思われてましたか?

【前田旺志郎】 当時は“いま注目されているんだな”と認識できる年齢ではなかったので、単純に自分がよく観ていた『エンタの神様』に出られることが嬉しかったり、好きな芸人さんとご一緒できるのが楽しみだったり、そういう喜びの気持ちだが強くてひたすら楽しみながらやっていました。だから気負うこともなかったですし、良くも悪くも自分が「まえだまえだ」なんだという意識はあまりなかったです。

■“将来を考えないと後戻りできなくなる”自問自答の末、たどり着いた俳優への想い

――旺志郎さんも兄の航基さんも俳優として様々な作品に出演されています。航基さんは旺志郎さんにとってどのような存在なのでしょうか?

【前田旺志郎】 僕にとって兄は良きライバルであり、一番近くにいる味方であり、同年代の俳優として共に戦う戦友です。

――お芝居について兄弟で語り合うなんてことは?

【前田旺志郎】 しないです(笑)。ただ、お互いの舞台は観劇するので、終演後に率直な感想や意見を伝え合うということはしています。

――旺志郎さんの中で“俳優としてずっとやっていこう”と思ったターニングポイントは何かあったのでしょうか?

【前田旺志郎】 「まえだまえだ」として色んな番組に出させていただいたり話題にして頂くことがあっても、それはたまたまであって自分達の力で何かをできたとは全く思っていませんでした。当時は始まりからの流れで続けていましたが、高校受験の時に“ここから先はちゃんと将来を考えないと後戻りできなくなるぞ”と危機感を覚えたんです。一旦立ち止まって、自分はこれから何をやりたいのかを自問自答しました。それで出た答えが、俳優という仕事だけは絶対に続けたいという強い想い。そこで初めて自分の気持ちを確認できたし、決意を固めたので、高校受験が僕にとってのターニングポイントでした。

■“戦友”である兄と僕が俳優として認知されたら「まえだまえだ」の活動も…

――現在は俳優活動をしながら慶應義塾大学で演劇教育を学ばれているそうですね。

【前田旺志郎】 俳優という仕事が本当に好きで、続けられていることに感謝しているんです。でも、それと同時にこれまでの俳優としての経験を活かして人のために何かできないか、そして社会に何か貢献できることはないかを考えることも大切なんじゃないかと思うようになりました。お芝居を通して感じること、できることはとても多いと思っているので、演劇教育を通じて社会貢献に繋がったらいいなと思っています。

――どんなことを学ばれているのでしょうか?

【前田旺志郎】 演劇の広め方やプロジェクトの作り方を学んでいて、いまは今年の夏に向けてのプロジェクトを進めています。仲間と一緒にゼロから演劇を作っているんですけど、時間が掛かりますし考えることも多いですし大変なことばかりです。だけどもの凄く楽しいんです。俳優の仕事では経験できないことも沢山あるので、大学に行って良かったなと思いますし、大学での経験は、絶対に俳優の仕事に活かせることがあると信じて取り組んでいます。

――今後はどんなことに挑戦してみたいですか?

前田旺志郎】 いつか脚本を書いたり映画監督に挑戦してみたいです。俳優として憧れるのは阿部サダヲさんや仲野太賀さん。お2人はすごくエネルギーに溢れた方だと思うのですが、それを全面に押し出すのではなく、自然と滲み出ているところが素敵だなと思っています。まさにお2人はどんな作品にも自然と溶け込んでいる感じがするんです。そういうお芝居ができる俳優に憧れます。あと、俳優としていつかご一緒してみたいのは今泉力哉監督です。色々と挑戦したいことはありますが、「まえだまえだ」のイメージがまだ強いと思うので、少しずつ更新していけたらなと。そしていつか兄も僕も俳優として世間に認知されるようになったら、「まえだまえだ」としての再活動もアリかなと思っています(笑)。
(取材・文/奥村百恵)

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