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Thursday, April 22, 2021

佐藤健、今後の俳優人生に立ちはだかる“るろうに剣心”「超えないといけない壁」 - ORICON NEWS

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 22歳で映画『るろうに剣心』の緋村剣心と出会ってから10年――いまや日本映画界でも多くの映像作家から絶大なる信頼を得ている俳優・佐藤健(32)。そんな彼が「いまの自分があるのは『るろうに剣心』という作品に出会ったからというのは間違いない」と断言するシリーズが、いよいよ完結を迎える。多くの人が新作を楽しみにし、期待値が上がる中、作品を重ねるごとにいい意味でファンの期待を裏切り続ける進化を遂げる佐藤の胸の内に迫る。

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■完成作品を鑑賞して「僕は満足です」

 『るろうに剣心』シリーズのラストを飾る“最終章”は、剣心最後の敵となる雪代縁(新田真剣佑)との壮絶なる“私闘”が繰り広げられる原作の「人誅編」を映像化した『るろうに剣心 最終章 The Final』と、剣心が人斬り抜刀斎から流浪人となるきっかけとなった、雪代巴(有村架純)との過去を綴った「追憶編」を実写化した『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の2部作で構成されている。

 制作日数7ヶ月、エキストラ6000人、日本映画史上類を見ないスケールで描かれる最終章。スタッフ、キャストを含め、作品に携わるすべての人たちの思いは“最高のエンターテインメント”を届けたいという純粋な思いだ。シリーズ全作でメガホンをとった大友啓史監督は「健くんが衣装に袖を通したとき、みんなが興奮した」と話していたように、間違いなく作品の求心力となっているのが、剣心を演じる佐藤だ。

 そんな佐藤は、出来上がった作品を鑑賞した際、真っ先に「僕は満足です」と大友監督に伝えたという。続けて「もちろん、この映画がヒットしてくれたらうれしいし、たくさんの人に観てもらいたい。そのために宣伝も頑張ろうと強く思いました。でも、もし仮にそういう結果にならなくても、僕はこの作品を残せただけでも大きな意味があったと思いますし、剣心という人物を最終章まで演じ切れたことを誇りに思えました。僕だけではなく、他の共演者、スタッフみんなの努力や頑張りをしっかりと大友監督が救い上げて、ちゃんと残してくれた。感謝の気持ちでいっぱいです」と胸の内を明かす。

■縁と剣心の一騎打ちは魂と魂のぶつかり合い

 『るろうに剣心 最終章 The Final』では、日本転覆を企てた志々雄真実との死闘を乗り越え、平穏無事な生活を送れるかと思ったなか、剣心に私的な恨みを持つ雪代縁が現れ、剣心の心と体を蝕んでいく。剣心と縁の闘いは、過去の『るろうに剣心』シリーズの闘いとはまったく違う“私闘”。縁と向き合えば向き合うほど、剣心の心は悲しみに覆われてしまう、とてもエモーショナルな闘いだ。

 佐藤は「剣心と縁の一騎打ちは、これまでのアクションエンターテインメント作品である『るろうに剣心』という位置づけでは、派手な立ち回りが要求されると思ったのですが、この闘いの意味を考えれば考えるほど、本質はそこではなく、感情のぶつかり合いなんですよね」と前提を話すと「だから僕もアクションチームと話をするなかで、いかにエモーショナルに表現できるかということをしっかり話し合いながら作ってきました」と語る。

 佐藤の言葉通り、剣心と縁のバトルシーンは、ダイナミックな立ち回りはあるものの、憎しみを露わにする縁の圧倒的な怒りの剣と、それを全身全霊で受け止めようとする剣心の悲しい剣が、非常に感情的に混じり合う。佐藤は「BGMもない、ただ剣と剣、肉体と肉体がぶつかり合うという完成形を観たときは、僕も驚きましたが、あれは大正解だと思いました」と述べると、対峙した新田について「エネルギー量と勢いがすごかった。しっかり感情も乗っていたので、僕は真正面から受け止めることに集中できました」と感謝の気持ちをのぞかせた。

■『剣心』は「ずっと心のどこかにいた」

 壮大な世界観を持つ少年コミックの実写映画化のハードルは非常に高い。2012年に封切られたシリーズ第1弾『るろうに剣心』のときも、公開前は不安視する声も大きかった。しかし、いざ劇場公開されると、これまで日本映画では類を見ないようなアクションエンターテインメントとして大ヒットし、続編制作が決定。2014年には『京都大火編』、『伝説の最期編』が公開され、こちらも高い評価を得た。

 作品ごとに高まる期待に対して、それを超えていくことは決して容易ではない。佐藤は「この作品の稀有なところは、10年間ほとんどスタッフ、キャストが同じということ」と話すと「それぞれの部署が、みな『前作以上のものを作るんだ』という覚悟を持っているんです。僕ら俳優陣も、スタッフのみなさんが最高の環境を整えてくれるのだから、いままで以上のパフォーマンスを出すために自分になにができるのか…ということを自然に考えられるんです」と作品に向き合うモチベーションを明かした。

 10年に渡る『るろうに剣心』の集大成となる作品が完成した。この期間、佐藤は数多くの作品に出演し、すさまじい活躍を見せてきた。それでも「無意識なので断言はできませんが、ずっと剣心は僕の心のどこかにいたと思うし、周囲も『剣心を演じた人』として見ている部分もあったと思います」と『るろうに剣心』という作品の存在の大きさに触れる。

 さらに佐藤は「この作品との出会いがあったから、いまの自分がいるのは間違いないです。この先の俳優人生を考えても、なかなかこういう作品に出会えることはないと思うし、超えないといけない壁でもあります」と、自身にとって特別な作品であることを強調する。

 長きに渡る過酷な撮影を経て、ようやく作品が公開される。「本当によくやったと思います。撮影を思い返すだけでも震えます」と語った佐藤。「また『るろ剣』の現場に?」と問うと「嫌ですね。もうやりたくないですよ」と苦笑い。しかし、毎回撮影後に「もういいです」と言いつつ、現場に舞い戻って来る大友監督率いる“チームるろ剣”。『最終章」として作品は完結するが、きっとまた『るろ剣』待望論が湧きおこるはずだ。それだけ本作には人を魅了する“中毒性”がある。(取材・文:磯部正和)

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