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Sunday, January 31, 2021

「KGBはトランプ前大統領を『協力者』として育成してきた」元諜報員が証言。英ガーディアン報道 - Business Insider Japan

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大統領退任の日、フロリダ州のパームピーチ国際空港に到着して支持者の歓迎を受けるトランプ前大統領。同地に新たに「前大統領オフィス」を構えたことを後日発表している。

REUTERS/Carlos Barria

  • 旧ソ連の国家保安委員会(KGB)の元諜報員が、英ガーディアンの取材に応じ、トランプ前大統領を「アセット」(=情報提供者あるいは協力者)として育成してきたと語った。
  • 元諜報員のユーリ・シュヴェツはガーディアンに対し、KGBがトランプ氏をアセット候補として見出したのは1980年代だったとふり返った。
  • トランプ氏がモスクワ旅行から帰ったあと、西側を批判し、ロシアを擁護する言説をくり返すようになったため、驚いたという。

かつてプーチン大統領もその一員だったKGBが、トランプ前大統領をアセットとして40年間育成し、結果として西側陣営を批判するロシアのプロパガンダをアメリカでまき散らし、きわめて素晴らしい役割を果たしてくれたと、元諜報員がガーディアンの取材に対し語った。

証言したユーリ・シュヴェツは、過去数十年にわたるトランプ氏とロシアの関係を詳細に描いた、ジャーナリストのクレイグ・アンガーの新著『アメリカン・コンプロマット』の主要なネタ元だ。

ロシアとアメリカの元諜報員への取材をベースに書かれたこの著作では、KGBが1980年代にアメリカで数多くのビジネス関係者を(本人の知らぬうちに)アセットとして育て上げ、活用していた当時の状況が詳細に描かれている。

シュヴェツはガーディアンの取材に対し、KGBは1980年代、当時新進気鋭の不動産デベロッパーとして頭角を現し始めていたトランプに、アセット候補として目をつけた

「リクルートされた時点では、誰もがこれから学ぶ生徒のようなもので、その後(KGBの諜報員に『育成』され)重要な存在になっていく。トランプの身にもそうしたことが起きたということだ」

著者のクレイグ・アンガーによれば、トランプがKGBのターゲットになったのは1977年、チェコスロヴァキア(当時)のモデル、イヴァナ・ゼルニコヴァと最初の結婚をしたころだった。

トランプは(幾多いる)アセットのうちの1人だった。この男をしっかり育成して、40年後に大統領にしてやろうといった、壮大で手の込んだ計画が当初からあったわけではない

「トランプはさまざまな意味で、完璧なターゲットだった。虚栄心が強く、ナルシストな彼の性質は、リクルートする相手としてうってつけ。40年間育成を受け、その性質が花開いたわけだ」(アンガー)

トランプが1987年に出した著書『トランプ自伝〜不動産王にビジネスを学ぶ』には、「ソビエト政府の協力を受けクレムリン(=ソ連共産党の中枢、その後ロシア連邦政府を指す)の向かいに巨大な高級ホテルを建設するため」モスクワを訪ねたとの記述がある。

だが、シュヴェツの証言によれば、このモスクワ訪問の最中に、KGB側はトランプを褒めそやし、政治の世界に明日を踏み入れるべきだと焚きつけた。

その後はKGBの諜報員も驚くような展開で、アメリカに帰国したトランプは選挙出馬を真剣に考え始めただけでなく、新聞数紙に全面広告を出し、西側諸国を批判するロシア側のプロパガンダを喧伝した。

なお、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ボストン・グローブといったアメリカを代表する新聞に掲載された全面広告のタイトルは、「治療不可能な信念の欠如を除き、アメリカの外交政策に問題は見当たらない」だった。

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1987年9月2日に掲載された全面広告について、AP通信が報じた記事。

Screenshot of Associated Press website

掲載料金は当時の価格で3紙合計9万4801ドル(AP通信の報道、1987年9月2日付)。対価を支払わない日本や湾岸諸国の安全保障をアメリカが代行している状況を「政治家たちはアメリカが所有しない船を守り、必要のない石油を運び、アメリカを守ってくれない同盟を向いている」と批判。富裕国への出費をやめるよう求めた。

このときの主張こそが、数十年後に大統領に就任するトランプの外交政策の「信念」となった。

シュヴェツによれば、この3紙全面広告は、アメリカのメディアに西側陣営批判のプロパガンダをもぐり込ませた「かつてない成功例」と(KGB側で)評価されているという。

ロシア干渉疑惑の「その後」

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2017年1月当時のオーバルオフィス(大統領執務室)。左からトランプ氏、プリーバス大統領首席補佐官、ペンス副大統領(着席)、バノン首席戦略官、スパイサー大統領報道官、フリン大統領補佐官(着席)。プーチン大統領との電話会談中。

REUTERS/Jonathan Ernst

トランプはロシアから経済的支援を受けるなどのつながりは一切ないと主張し続けてきた。

2017年には「ロシアが自分に対して影響力を行使しようとしたことはいままでに一度もない」「ロシアと私には何の関係もない。取引契約も、債務も、何もかもだ」とツイートしている。

また、2016年のアメリカ大統領選挙におけるロシアの干渉疑惑について、捜査にあたったロバート・モラー元特別検査官は、選挙に影響を及ぼすようなロシアと共謀した選挙活動の証拠は、最終的に見当たらなかったと司法省に報告(2019年3月)した。

ただし、元大統領補佐官(国家安全保障担当)のマイケル・フリンや、大統領選でトランプ陣営の外交政策顧問を務めたジョージ・パパドプロスは、駐米大使などロシア政府関係者との接触をめぐり偽証の供述をしたとして有罪判決を受けた(トランプ退任時に恩赦)。

さらに、トランプ前大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエンも2018年、モスクワのトランプタワー建設計画について上院委員会で偽証したとして有罪判決を受けている(恩赦を拒否したとコーエン自身は主張)。

[原文:Russia has been cultivating Trump as an asset for 40 years, former KGB spy says

(翻訳・編集:川村力)

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