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Monday, November 16, 2020

稲敷の豊かな自然、短編小説に 地域おこし協力隊・水元翔太さん「地元の魅力、再認識を」 - 東京新聞

小説に登場する妙岐ノ鼻に立つ水元翔太さん=稲敷市で

小説に登場する妙岐ノ鼻に立つ水元翔太さん=稲敷市で

 地平線まで続く田んぼ、豊かに水をたたえた霞ケ浦、利根川、新利根川、見上げた空の広さに圧倒される。そして関東最大級のヨシ原の妙岐ノ鼻−。稲敷台地の豊かな自然にほれ込み、稲敷市地域おこし協力隊の一員となった水元翔太さん(29)が、市内を舞台にした短編集「いなしき小説」を発表した。「稲敷の魅力を再認識してほしい」と地元への愛着を込め書き上げた。 (林容史)

 小説は今年六月に本格的に執筆に取り掛かり、十月半ばに四編を収めて完成。第一刷二百部を発行した。

 収録された短編のうち「残映(ざんえい)」は、国の天然記念物で、毎年十一月に市内に飛来する渡り鳥のオオヒシクイを遠景に、物語が進む。母親との関係に悩む小学生の男の子、息子の嫁との確執にうんざりする女性が、「鳥」によって結び付けられていく。

 水元さんによると、貴重なオオヒシクイがいる風景は市民にとって「当たり前」なのだという。だからこそ作品を通して「そこら中に落ちている地元の魅力に気づいてほしい」。「都会の人たちには稲敷の自然を感じてほしい」と呼び掛ける。

 ほかにもレンコン農家を取り上げたり、仲間の隊員が開業を目指して改修中のゲストハウスをモデルにしたりした作品がある。作中には、市のシンボルで東京ドーム約十個分の広さがある妙岐ノ鼻など実際の地名をふんだんにちりばめた。

妙岐ノ鼻が描かれた「いなしき小説」の表紙

妙岐ノ鼻が描かれた「いなしき小説」の表紙

 ただ、本は出来上がったものの、新型コロナウイルスで市のイベントが軒並み中止となり、配れない状況に。そこで市内の飲食店やフィットネスジムなどを頼って配布してもらい、理美容室には閲覧用に本を置いてもらった。

 水元さんは「新型コロナで多くの市民に協力してもらえて、かえって良かったのかも」と振り返る。

 もともとは千葉県市川市出身で公務員を目指しながら、市内の郵便局で働いていた。ネットで偶然、地域支援しながらそこで生活する地域おこし協力隊の稲敷市の募集情報を見つけ、市内を巡るツアーに参加した。景観の素晴らしさに打たれて応募、二〇一八年四月に三期生として採用され、市内に移り住んだ。

 採用時のプレゼンテーションでは「ここを舞台にした小説が書きたい」とアピール。中学時代に授業で小説を書いて以来、社会人になっても純文学からエンターテインメント、携帯小説まで、幅広く創作活動を続けていたからだ。

 本に囲まれた図書館に配属され、読んでほしい本を来館者に薦めるポップを描いたり、商店街のイベント拠点で市民劇団と共にお話し会を開いたりした。その傍らで小説を書き、隊員としての任務を果たした。

 隊員の任期は来年三月まで。その後は競走馬の調教施設「美浦トレーニング・センター」がある美浦村で、競走馬の飼料を製造する会社に就職することが決まった。

 水元さんは「住民の優しさに、垣根もなく活動できた。自分には稲敷の自然が合っている」と話す。就職後も市内に住み、小説を書き続けるという。

 「いなしき小説」の問い合わせは、稲敷市地域おこし協力隊のフェイスブックか水元さん=電090(8891)3728=へ。部数がある限り無料配布している。

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