新型コロナウイルス感染拡大で、ワーキングホリデーや旅行で市内にとどまる外国人が身の振り方を決めかねている。飲食店などが軒並み閉まって生活しづらくなり、帰りたいのはやまやまだが、母国では日本以上に感染が広がり、帰国便が途絶えたケースもあるためだ。外出自粛が強く求められる中、異国の地で息を潜めるようにインターネットで情報収集する日々を送っている。
「買い物する場所もレストランも閉まり、日本で生きるのは難しくなっている」。働きながら就学、観光もできるワーキングホリデーで昨年１１月から金沢に滞在中のフランス人、ルーカ・ト・マワンさん（２９）は現在、金沢のホテルで清掃の仕事に就いている。
先月中旬に緊急事態宣言が全国に拡大された後、自宅近くで利用していた店が次々と休業した。帰国する選択肢もあったが、母国の感染者は１６万７千人、死者は２万４千人を超えた。日本よりはるかに深刻な状況を踏まえ、当初の予定通り８月までの滞在を決めた。「コロナは怖いけど、今帰っても隔離されるだけ。もう少しじっとしている」
３月中旬に来日したロシア人のアントン・パノフさん（２７）は、３週間で帰国する予定だったが、国際便が運休となって帰れなくなった。予定にはなかった金沢に移動し、外国人旅行者に無料開放している宿泊施設で滞在していた。
ロシアは４月に入って感染者が急増し、１０万人を超えた。パノフさんは「ほとんどの店が閉まっていると聞く。当分は帰りたくない」と沈痛な面持ちで語った。
３月から日本国内を旅行中のオランダ人のヤスナ・ズイショ・テリハイさん（５２）は「もうどこにいても一緒」と帰国せずに旅を続ける。ただ「もし日本で体調を崩した時、どこに行けばいいのかは分からない」との不安はある。
県医療対策課によると、新型コロナウイルス感染の疑いがある訪日外国人は、県内３５カ所の受け入れ医療機関に連絡し、外国語の案内に従って受診できる。今後、国内を移動する旅行者からウイルスがまん延する恐れもあり、担当者は「旅行者も外出は極力控えてほしい」と話した。
欧州から旅行で訪れた３０代女性が３月１８、１９日、熱がある状態で金沢市を訪れた後、川崎市で同２２日陽性と判明し、先月１３日に同市内の病院で息を引き取っていたことが、県や金沢市への取材で分かった。県健康推進課は、県内でこの女性と濃厚接触した人はいないとしている。
北國新聞社
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May 02, 2020 at 11:04PM
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