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Monday, May 23, 2022

苦肉のIPEF始動、東南アジアに実利示して「協力得られなければ…目的果たせず」 - 読売新聞オンライン

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 米国が主導する「インド太平洋経済枠組み( IPEFアイペフ )」が23日、始動した。復帰が困難な環太平洋経済連携協定(TPP)の代替策を打ち出し、中国に対抗する。米国内の世論に配慮し、関税引き下げによる市場開放には踏み込まず、実効性のある経済連携になるかは見通せない。(ワシントン支局 山内竜介)

 「インド太平洋地域で協力関係を強化し、具体的な利益をもたらす」。バイデン大統領は23日、岸田首相との会談の冒頭で意気込みを語った。

 バイデン氏が構想を最初に打ち出したのは、昨年10月の東アジア首脳会議。1か月前、地域包括的経済連携(RCEP)に加わる中国がTPPにも加盟申請し、危機感が高まったことが背景にある。

 TPPはもともと、オバマ政権が中国包囲網の形成を目指して推進したが、米国の産業や雇用を脅かすとしてトランプ前政権が離脱した。労働者層への配慮から保護主義的姿勢を示すバイデン政権は、アジアの経済連携の空白を埋めるため、苦肉の策としてIPEFをひねり出した。

 発足までの半年間、日本は米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の橋渡し役を務めた。外交筋によると、ASEANと中国の経済的な結びつきが強いことを踏まえて「踏み絵を迫らないよう、対中国色を弱めるべきだ」と助言した。

 米国で自国の製品をもっと売りたい各国にとって、関税を扱わないIPEFはメリットが乏しい。参加は少数にとどまるとの見方もあった。米国は、半導体の供給網強化やインフラ整備など、アジア新興国の関心が高いテーマをアピールし、分野ごとに参加を募る形として枠組みに加わるハードルを下げた。粘り強く説得を続け、ASEAN10か国のうち7か国が参加することになった。

 米国の通商交渉筋は「東南アジアに実利を示して積極的な協力を得られなければ、IPEFは目的を果たせない」と指摘する。今後の交渉ではASEAN諸国の動向が焦点となりそうだ。

 日本は、IPEFに積極的に関与して日米の経済連携を強化しながら、米国のTPP復帰を目指す。首相は「日本は戦略的観点から、米国がTPPに復帰することを期待している」と述べた。

 ◆ IPEF =Indo‐Pacific Economic Frameworkの略。関税の引き下げや撤廃は、米国内の産業や雇用への悪影響を懸念する声が根強く、含んでいない。

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