経営する「つきひ惣菜店」で予約客にオードブルを手渡す甲斐友也さん=20日、長島町鷹巣
同世代の中では政治に対し関心が高い方だと思う。ただ、政治家の言葉には以前からどこか違和感を覚える。「若者が住みやすい街づくりなど、世間の関心が高い言葉をちりばめただけ。伝わってこない」と辛口だ。
甲斐さんは大分県別府市出身。鹿児島大学の4年生だった2017年6月、地域おこし協力隊の一員として長島町に移り住んだ。
協力隊は都市部から移住し、特産品のPRや住民の生活支援などに取り組み、活性化の一翼を担うものだ。甲斐さんは、地元生産者の特集記事と食材をセットで届ける季刊誌を作ったり、県内外の飲食店で長島の食をPRするイベントを企画したりした。
3年の任期を終えた後も「地域のためにできることはまだある」と残った。地元の食材を使ったテークアウトの専門店を今年5月に始めた。
長島での暮らしが4年を超え、地方の難しさも肌で知る。地元経済を支えるブリ養殖をはじめとする1次産業は、天候や燃料高騰など外的な影響を受けやすい。時間とお金を費やし、汗水流して働いても、見合った利益を得られない現実が横たわる。
昨年来の新型コロナウイルス下でデジタル化が一気に加速した。生産者にはインターネットを使って商売したくてもできない人や、そもそも関心がない人もいる。デジタルの知識や技術の有無で、身の回りでも“格差”が生じている。
「全てを生産者の自己責任にするのはおかしい」。新参者だった自分を受け入れてくれた地域に恩返ししたいと飲食店との橋渡しに奔走するが、一人では限界がある。地域全体が潤うには行政や団体も一体となって売る力が欠かせない。
「政治は生活を下支えするもの。政治家には理想像だけでなく、生産者の現状など現場の声を聞き、課題を明らかにし、解決への道筋を示してほしい」
地方創生、SDGs(持続可能な開発目標)の実現、ジェンダー平等…。選挙戦ではいきおい、響きのいいキャッチフレーズが先行しがちだ。
違和感は拭えないが投票所には必ず足を運ぶという。「投票せずに政治への不満を口にするのはダサいから」。今回も期日前投票を済ませた。
取材後記・しがらみより、自分の意思で
甲斐さんが選挙についてしっかり考えるようになったのは、昨年の県知事選という。ある候補を熱心に支援するグループのSNSの内容に違和感を覚え、他候補の訴えも調べてから自らの1票を投じた。雰囲気に流されない姿勢に共感する。選挙を巡っては地縁・血縁をはじめ、さまざまなしがらみがつきまとう。投票は自分の声だ。各候補、政党の公約を見極め、自分の意思で票を投じたい。(田上恵以、27歳)
からの記事と詳細 ( 元地域おこし協力隊。政治の響きのいいフレーズばかりに違和感を覚えるが投票はする。「不満だけ言うのはダサいから」【U30のまなざし 衆院選鹿児島】 | 鹿児島のニュース - 南日本新聞 )
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