愛知県出身の鈴木翔瑛さん(25)は今春、古殿町地域おこし協力隊の任期を終えた。次に選んだ道は、地元に根差した仕事四つを掛け持ちする「フリーター」だ。「自由に自分が好きなことをしたかった」。協力隊の時に知り合った町民の温かい応援を受け、感謝を胸に日々、汗を流す。
任期満了後は海外に渡るつもりだったが、新型コロナウイルスの影響で計画は頓挫。どうするか迷う中、皆が「ここにいればいいよ」と言ってくれた。現在は自らが求める働き方を尊重してくれた農業の「ふるさと工房おざわふぁ~む」「豊国酒造」、総合建設業の「宮田商事」「道の駅ふるどの」で働いている。
愛知県で育ち、鳥取県の大学に通った。本県移住のきっかけは大学4年生の時に総務省の「ふるさとワーキングホリデー」で県内に2週間、滞在したことだった。学生のうちに復興が進む本県を見たいと参加。出会った復興支援専門員から協力隊の仕事を教わった。過疎地域に興味があったこともあり、古殿町に応募。採用に至り、卒業してすぐに就任した。
町の印象は「皆が自由に好きな活動をしている」。そんな人たちの中に若さと勢いで飛び込んだ。任期中には町が「流鏑馬(やぶさめ)の里」であることにちなみ、馬のふんを使った堆肥で育てるニンジン「うまいにんじん」の企画などを行った。
ただ、就任当初から任期の3年を終えたら町を出るつもりでいた。「ずっと町にいなよ」と言ってくれる人もいたが、ヨーロッパに渡り、さらに視野を広げたかった。
出会う人にはそのことを隠さずに伝えていた。新型コロナが拡大して渡航計画が難しくなると、知人たちは心配し、働く場所や新たな住居まで見つけてくれた。
あえて仕事を掛け持ちにしたのは、出会った人たちのように自由に活動したかったから。何より知人たちはそうした働き方を認め、応援してくれている。「批判されることがあるかもしれないが、こういう働き方もいいなと思ってもらえたら」と話す。
20代のうちはチャレンジを続けたいと考えている。新型コロナ感染症が収束したら一度は海外で生活したいという気持ちは変わらない。ただ、最近ある思いが芽生え始めた。「海外から日本に戻ったら古殿に帰ってきちゃうかもしれないな」。"第二の故郷"への愛着は増し続けている。
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