
新型コロナワクチンの大規模接種センターの予約受け付けが始まった。六十五歳以上が対象だが、ネットに不慣れな高齢者の不安は非常に強い。接種漏れを防ぐには、世代を超えた協力が必要だ。
今回順次予約が始まったのは首都圏四都県と関西三府県で、自衛隊が運営する。大規模接種は愛知や群馬でも自治体主導で始まる予定で、スムーズな運営は全国的課題でもある。
大規模接種センターの予約を取るには防衛省のホームページか通信アプリのLINE(ライン)から専用ページに入る必要がある。この操作をめぐり多くの高齢層が戸惑うことが想定される。
すでに四月から各自治体で始まった予約では、電話がつながらない上にシステムの不具合が多発した。さらにネット画面につながっても誤操作や操作の流れそのものが理解できず接種に至らなかったケースも相次いだ。
高齢夫婦や一人暮らしで家族や近隣に助けを求められない場合、操作に苦戦した揚げ句、接種を受けられない事態は今後も続く恐れがある。
東京都八王子市や静岡県三島市などでは市の民生委員や自治会の役員、介護関連のケアマネジャーらがネット予約を代行する取り組みを進めている。学生がボランティアで助ける例も出ている。
こうした助け合いは大いに評価したい。しかし地域レベルの散発的な動きだけでは力不足だ。
接種をめぐっては予約できても遠くに設置された会場まで行くのに困難を伴う事例もある。
ワクチンを希望者全員に滞りなく接種するのは当然である。ただネット予約や会場までの交通に問題が生じるのは事前に予測できたはずだ。
しかも接種のスケジュールは昨年から検討課題に上っていた。混乱が広がるのであれば、政府や自治体の準備が甘かったと指摘せざるを得ない。
今後、政府は接種の現場で起きている実態を改めて精査し、若い世代も巻き込んだ協力体制の構築を呼びかけるべきだ。
今のような地域バラバラの取り組みだけでは、著しい不公平や多くの接種漏れが生じる恐れがあるからだ。
一方、携帯会社を含むネット関係や交通関連の各企業、大学・専門学校などの積極的な支援も必要だ。ネットに慣れた若い人々や民間企業も交えた強力な接種態勢構築を強く求めたい。
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