レンジャーズ有原航平投手(28)が、デビュー3戦目でメジャー初勝利を挙げた。

5回2/3を3安打無失点無四球5奪三振と好投。レイズ筒香嘉智外野手(29)とのメジャー初対決でも、2打数無安打に封じ、念願の白星を手にした。試合後のオンライン会見にはは、レンジャーズ内で“本日のMVP”に渡されるカウボーイハットをかぶって登場。試合終了の瞬間の心境を「ホッとしました。ようやくスタートできたなと思いました」と、笑顔で振り返った。

最大のピンチは、1点を先制した直後の2回裏だった。無死二、三塁の状況でも、有原は冷静だった。6番マーゴーを浅い左飛に仕留めた後、打席には7番筒香を迎えた。内角高めにカットボール、速球を見せてカウント2-2と追い込むと、最後は外角低めのボールゾーンにスライダーを散らし、空を切らせた。「試合前はちょっと意識はあったんですけど、ああいう場面だったので必死。雰囲気を感じる余裕はなかったです」。この回を無失点で切り抜けると、3回1死からは10打者連続凡退。1-0と1点リードした6回2死、85球に達したところで救援陣にバトンを託した。

有原の名前は、早い時期から米球界でも知られていた。日本ハム入り後の16年2月、米アリゾナ州ピオリアでのキャンプ中、韓国ロッテとのオープン戦に先発した大谷(エンゼルス)目当てに、約100人前後のメジャーのGM、スカウト陣が集結した。大谷の降板後、多くのスカウトが一斉に席を立ったが、2番手投手が投球練習を開始するのを見ると、すぐに足を止め、もう1度座り直した。その時、マウンド上にいたのが、有原だった。複数のGMらが「あの投手の名前は何だ」と入念にチェック。その後、レンジャーズをはじめ複数球団が、有原の本格調査を開始した。昨オフのポスティングで競合するのも当然だった。

自らの夢をかなえ、やっとつかんだ初勝利。記念のウイニングボールは、サポートしてくれた妻へ渡すという。「いよいよ始まったなという気持ち。これからがスタートなのでしっかり頑張りたいと思います」。次回の登板予定は、19日(同20日午前10時38分開始予定)の敵地エンゼルス戦。日本ハム時代の同僚でもある大谷と対決することが確実視される。柔らかい表情のまま、「ちょっと考えてます」と語った抱負が、冷静な有原ならではだった。