阪神に新加入したチェン・ウェイン投手(35)=前ロッテ=が30日、西宮市の甲子園施設内で入団会見に臨んだ。オリックスに移籍した能見から背番号14を受け継いだ左腕は“Gキラー”継承を誓い、古巣・竜斬りにも闘志を燃やした。チェンと同様、かつて中日、阪神に在籍した故郷・台湾の先輩で中日入団時のスカウト、故・大豊泰昭氏への感謝を胸に、虎を優勝に導く。
チェンはほおを緩ませ、入団への喜びを真っ先に口にした。「日本に戻ってきたいという気持ちがずっとありました。阪神というとても歴史のあるチームに入団できたことをうれしく思います」。代表取材に応じていく中、巨人についての話題に及ぶと表情は一変。眼光が鋭くなる。
「巨人を倒すのが一番の目標。やっぱりジャイアンツを倒さないと優勝は見えてこない。自分が巨人戦で投げた時は、試合のコントロールの仕方とかは自信を持っています」
宿敵相手の心構えは、10年の月日が流れても忘れていない。日本通算36勝中9勝は巨人からマーク。防御率2・52と強力打線に“奮投”を続けた。10年前と主力選手の大半は変わったが、今もチームの中心的存在で活躍する坂本勇は「一番印象に残っている」打者として警戒心を強める。
渡米前の対戦成績は、86打数21安打で打率・244、1本塁打、9打点とチェンの優勢だったが「私が1軍で投げだした時にもすごい成績を残しているバッターでした。3割、30本残せる選手ですし、走攻守そろってる選手」と、波に乗せてはならない存在と十分に理解する。
この日初めてタテジマに袖を通した。昨季まで「14」を背負った能見は、巨人戦通算22勝を挙げ“Gキラー”として君臨。「14番は能見さんが背負っていた背番号でもありますし、その意思というのを継続しながら一生懸命やっていきたい」と能見魂継承を約束した。
巨人だけではなく、古巣・中日にも必ず勝つ。「敵として対戦した時には手を抜く気はない。全力で向かっていきます」。中日入りに導いてくれた故・大豊氏と同じく中日、阪神のユニホームを着られることが、何よりもうれしいという。
「大豊さんは私の憧れの存在。一緒の道を歩んでいけることに光栄に思っています」。不思議な縁を実感しながら、10年ぶりにセ・リーグに戻ってきた。
会見後は甲子園室内でのキャッチボールなどで調整。14日の来日後に2週間の自宅待機を経て、31日の沖縄入りを前にした阪神での“初始動”となった。プロ18年目。チームの悲願達成のため全力で腕を振り抜く覚悟だ。
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