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Saturday, August 1, 2020

旅行ができずに気づいたこと「給付金はGo To キャンペーンに」 - livedoor

新型コロナウイルスの拡大感染を受けて生まれた「特別定額給付金」。1人あたり一律10万円という給付は、受け取る人の経済状況だけでなく、その人の価値観も浮かび上がります。在宅ワーク、学校のオンライン授業など、新しい生活に向き合わなくてはいけなくなった中、世間の人たちは一体どんなものに給付金を使うのでしょうか? 横浜市に住むフリーデザイナーのきおさんは、年に一度のライフワークにしている旅行の費用にしたいと考えていました。しかし、不安定な社会情勢が続く中で旅行のタイミングが見いだせず……。旅行をすることの意義を見つめ直した結果、「Go To トラベル」に使うことを決断。きおさんがコロナの中で得た、あらたな気づきについて聞きました。(ライター・安倍季実子)

【イラスト解説】何度聞いてもわかりにくい…「Go To トラベル」の概要 いくらもらえて何に使える?

無期延期になったライフワーク

「国内の大手ゲーム会社と外資系金融企業で働き、2年前にフリーランスになりました。基本的には、自宅で仕事をしていますが、業務委託という形で受けている仕事もあって、週2日は都内にある企業に出勤しています。でも、新型コロナウイルスの影響で、業務委託の仕事が完全リモートワークになりました」

そう話すのは、横浜市在住のフリーのweb&グラフィックデザイナーのきお もとみさん。外資では、インハウスデザイナーとしてマーケティングに特化したクリエイティブを任されたいたこともあり、その経験をいかして複数のプロジェクトに関わっている。

「コロナの影響はあったとは言え、私たちのような職種は、プロジェクトが急に立ち消えになることはそうそうありません。緊急事態宣言発令中も、制作スケジュールが後ろ倒しになるくらいで、大きなダメージはありませんでした。それに世間はステイホームということで、自宅でYouTubeなどを見る人が増えたからか、動画関連のお仕事が一気に増えました。なので、お仕事面ではそれなりに充実していました」

フリーランスの強みを味方につけて、コロナ不況の第一波を乗りこえた、きおさん。目下の悩みは、「特別定額給付金」を使うタイミングにあるという。

「実は私、毎年必ず1度は国内外関係なく旅行をしているんです。と言うのも、私にとって旅行は、趣味と実益を兼ねたライフワークみたいなもの。サラリーマンの方なら、自己啓発本やビジネス書を読んだり、ちょっと遠方の実務研修に参加したりすると思うのですが、感覚的にはそれに近いと思います。なので、『特別定額給付金』は『Go To トラベルキャンペーン』を利用した旅行資金にする予定です。いつ行くのかは全くの未定ですが……」

アートに触れると「思わぬ収穫」

きおさんが旅に目覚めたのは大学の卒業旅行だったという。

「友人とヨーロッパ中の博物館・美術館をめぐる2週間のツアーに参加して、イタリア・フランスなどで世界的に有名な作品をたくさん見ました。2週間も博物館や美術館をまわるなんて大変そうだし、飽きそうだと思われるかもしれませんが、そうでもありませんでした。いろいろなアートに触れることで、常に刺激をもらいましたし、その土地の歴史や文化、人々の暮らしなども学べるんです。思わぬ収穫を得たこともあって、それから私にとって『旅行』と『博物館・美術館めぐり』はセットになりました」

就職すると、さらに海外との垣根は低くなっていった。

「旅行熱に拍車がかかったのは、2社目の外資に勤めていた頃です。同僚や上司に外国人が多く、社内では『本社で会議があるからイギリスに行ってくる』、『ちょっと帰省してたんだ。ハワイ土産どうぞ』といった会話が当たり前に飛び交っていました。そんな中にいたためか、私の中で日本と外国の壁がなくなって、『旅行=世界中』という概念になり、『旅行』がより身近になりました。それからは、毎年旅費をためて、ロンドンの大英博物館へ行くためにイギリスへ、ニューヨーク近代美術館(MoMA)を目的にアメリカへ、という感じで旅行するようになりました」

目的地を決めるのは「直感」。一つの作品をきっかけに決めた旅行もあったという。

「ニューヨークに行ったときは、『アンディ・ウォーホルのマリリン・モンローを見たい!』と思ったのがきっかけでした。今年は、瀬戸内の美術館やアートギャラリーをめぐろうと、年始早々に決めました。きっかけは、昨年の紅白歌合戦で米津玄師さんが『大塚国際美術館』で歌っているのを見たからです(笑) そして、行くなら『ART SETOUCHI』の会期中に行こうと(※)」

(※)「ART SETOUCHI」は、3年ごとに開催される「瀬戸内国際芸術祭」と、その間に取り組まれるアートを通した地域再生を目指す活動の総称。春・夏・秋に期間限定で、屋内作品の公開やアーティストによるワークショップ、イベントなどが開催される。

コロナで気づいた旅行の価値

行き先も決まっており、10万円の使い道も旅行以外の選択肢は考えられなかった。

「『特別定額給付金』が決定したときは、割と早い段階で旅費に充てようと思いました。それに、5月の時点で『Go To トラベル』実施予定というニュースも流れていましたし、私の中でこの2つの掛け合わせは自然なものでしたね。でも、『Go To トラベル』の詳細情報を待つ中で、感染者数が増えて東京が対象外になったり、条件が一転二転して横浜も対象外だといううわさを聞いたりして、次第に不安になっていきました。本当なら9月に行く予定でしたが、今は延期する方向で考えています。個人的には、ワクチンが開発されて、安全に旅行ができる状態になってから行くべきだと思います。そうすると年内は難しそうなので、別の使い道を探そうとしたのですが、どうしても諦めきれず、もう一度旅行についてじっくり考えてみたんです」

すぐには行けなくなった旅行と向き合う中、きおさんには、あらたな気づきが生まれていた。

「私にとっての旅行は趣味と実益を兼ねたライフワークだけど、視点を少しズラして『経済面』から見た場合、旅行先に数日間滞在したり、美術館や地元のお店をまわったりすることで、現地で経済活動が生まれます。それに、横浜〜瀬戸内の往復では電車やバスなどの交通機関を利用します。そう、旅行中の当たり前の行動は、すべて経済活動に直結していることに気づいたんです」

「これまで、国内外いろいろな所を旅行してきて、都会と地方との落差を実際に見ているので、連日報道されている『Go To トラベル』の重要性には強く同感しています。私個人にできることは小さなことですし、いつ行けるかもわかりませんが、改めて『特別定額給付金』は『Go To トラベル』を使った旅費にあてたいと思いました」

予算1兆3500億円の大型支援策

「Go To トラベル」は予算規模1兆3500億円で、宿泊や日帰りの国内旅行代金の半額相当を国が補助するキャンペーンだ。支援額のうち、7割は旅行代金の割引に、3割は旅行先で使えるクーポン券に充てるというもので、旅行者一人当たりの上限は、1泊2万円(日帰りは1万円)となっている。

新型コロナウイルスの経済への影響は、特に旅行業では深刻で、JTBでは社員約1万3千人への冬の賞与を見送っている。また、観光業を主な地場産業とする地域では、オリンピックに関連したインバウンドが焼失。緊急事態宣言による、国全体での自粛傾向も重なり、壊滅的なダメージを受けているところも少なくない。

「Go To トラベル」への期待が高まる一方で、7月に入ってから首都圏で感染が拡大したことを受けて、地方の知事らからは懸念や批判が続出。国土交通省は7月22日、東京都内への旅行と東京都民は当面対象外とすることなどを決定した。

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August 01, 2020 at 05:00AM
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