関西電力の役員らが原子力発電所が立地する自治体の元助役から金品を受け取っていた問題で、同社は会社から独立した弁護士だけで構成される調査委員会を新たに設置し、より徹底した調査を実施すると発表した。年内めどに報告書を取りまとめる。
新たな調査委員会では、高浜原発が立地する福井県高浜町の森山栄治元助役(故人)から類似した金品提供の事例がないか追加調査を行うとともに、原発周辺地域への対応や工事などの発注に関連して社外から不適切に金品を受け取った事例がなかったかなどについても調べる。
また、2018年7-9月に行った調査の内容や結果、会社の対応などについての妥当性も検証する。
岩根茂樹社長は9月27日の記者会見で、自身や八木誠会長など役員のほか社員も含め計20人が、計3億2000万円相当の金品を森山氏から受け取っていたことを明らかにしていた。
関西電が2日発表した昨年の調査結果報告書によると、八木会長が金貨や金杯など計約859万円相当、岩根社長が金貨を約150万円相当受け取っていたことが明らかになった。
受領額が最も多額だったのは鈴木聡常務執行役員で、現金7831万円のほか米ドルや金貨などを含めて計約1億2367万円相当を受け取っていた。豊松秀己元副社長も約1億1057万円相当を受け取っていた。金品の授受は06年から18年までに行われていた。受け取った金品の大部分はすでに返却済みだという。
報告書によると、森山氏との面談時に金品が提供されたが、その見返りとして、地元建設会社の顧問を務めていた同氏に、工事発注関連の情報提供や特別扱いをしたような事実は認められなかったという。
返却申し出るとどう喝
森山氏に金品の返却を申し出ると「お前、誰に向かって言うてんねん」とどう喝されたり、機嫌を損ねると自身や家族の身体に危険を及ぼすことを示唆するような発言もあったとこから、返却をあきらめざるを得なかったと説明した。
八木会長は2日に大阪市内で会見し、「この方を怒らせることはイコール高浜での原子力運営がうまくいかなくなる」との考えが歴代の原子力事業担当者の間に広まっていたと話した。会見に同席した岩根社長も「先輩からいろいろな話を聞かされ、森山神話に入ってしまっていた。伝承も含め森山氏の影が強かった」との認識を示した。
同社は調査後の昨年9月25日に、八木会長と豊松元副社長が月額報酬の2割を2カ月、岩根社長が同2割を1カ月返上との処分を下していたことも明らかにした。鈴木執行役員に対しては厳重注意だった。
岩根氏は会見で、調査、検証を行うとともに再発防止策を講じていくことで経営責任を果たしたいとし、改めて辞任する考えはないことを示した。
菅義偉官房長官は2日午後の会見で、関西電の発表について「ガバナンス、コンプライアンスの観点からさらなる事実究明が必要な点も多い」と指摘。「社会からの信頼を取り戻すためには、まずは第三者の目線により徹底的な調査と原因究明を行うことが不可欠」との考えを示した。
(菅官房長官の会見での発言を追加して更新します)
2019-10-02 05:47:00Z
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-02/PYQ38KDWX2PS01
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